第6章 4ページ目 お花見わっしょい(3)
「硝子お前っ…今、にキスした?したよな?」
「あ、ああ…たしかにキスしたな」
その言葉にぶんっと振り向いて、五条くんと夏油くんを見た。
キス……キス、した…?…誰と?……硝子ちゃん、と?
「……キス…」
口に出せばようやく自覚して、胸元からぶわぁっと一気に熱が上がる。
心臓がばくばく鳴って、耳まで熱い。
見なくても自分の顔が真っ赤なのがわかる。
「あはは~の顔、真っ赤じゃん。かわい~~ウケる~~」
「しょ、硝子ちゃ…」
言葉尻を伸ばしてケラケラ笑う硝子ちゃんの顔は、まだぽやぽやしていて。
これは、もしかしなくても…
「あーあ…硝子のやつ、まだ酔っぱらってんな」
「これは、担いで帰るしかないかな」
酔っぱらってたぁあーー!!!!
ああああーーーーっっ…!!!!
確信した瞬間、わたしは両手と両膝を地面に着いてがくーっと項垂れた。
硝子ちゃんはそんなわたしを見て笑うと、ふら~っと後ろへ倒れてまた眠ってしまった。
すやぁ…と、気持ちよさそうな硝子ちゃん。
「…わ、わたしの……」
じわり、じわり…透明な水が視界を滲ませていく。
「?どうした?」
「気分でも悪いのかい?」
とつぜん取り乱した様子のわたしに、不思議そうな顔と声を向ける五条くんと夏油くん。
なんで…なんで、もう平然としてるのおお!?
わたしは二人をキッと涙目で睨みつける。
「わたしのっ、ふぁーーすときっすぅううう~~~~っっ!!!!」
「「!?」」
ひ、ひどいよ硝子ちゃあああんっ。
好きだけど、大好きだけどぉおお、それとこれはまた別問題いいっ!!
「マ、ジかよ…」
「まさか、初めてだったとは…」
「まぁでも、硝子でよかったんじゃね?一応、美人だし」
「そうだね。変な男に引っかかるよりはマシじゃないか」
「うあああんっ、慰めになってないい~~~っ!!」
うぐ、えぐ…こんなちんちくりんだけど、ちょっとは夢見てたっていうか。
やっぱり初ちゅーくらいは好きな男の子とって…こんな世界だから難しいとはわかってたけど、でもっ…。
「うぐぅ…好きな人としたかったよぉう…」
どうしてもショックなものはショックで。