第6章 4ページ目 お花見わっしょい(3)
ぐわんぐわんする頭をさすりながら、心の中で呟く。
――五条くんの握力ゴリラめ。
タイミングよくじろっと見られてビクッ!ってなったけど、声に出てはいなかったみたいだ。
はぁぁ…びっくりしたぁー…。
そのまま五条くんは、頭を押さえて起き上がる夏油くんのそばにしゃがみ込む。
「おーい傑、起きてる?」
「ん…ああ、しっかり目が覚めたよ…思いきり殴っただろう?悟」
五条くんを見上げて笑う夏油くんの目つきは鋭い。
対する五条くんはきょとんとして。
「ええー、なんのことぉ?悟わかんなぁーい」
「「ぶふっ…!!!!」」
両手を口の前にもってきて体をくねらせるから、思わず夏油くんと同時に噴き出した。
「ふっ、くくっ…やめろ、最高に気持ち悪いっ…」
「ええ~?最高にカワイイでしょ?んふ」
わざわざサングラスまで外して、ぱちぱち大げさに瞬きをして見せてる。
うわあ…すごい、ばっさばさの睫毛が動いてる。
目元だけ見れば傾国の美女って感じだぁ。
きゅるんって効果音が聞こえそう。
「ふっ、ふふっ、あははは!五条くん、さいっこー!」
「だろ?わかってんな!」
意気揚々とこちらを向いた五条くんと、親指をぐっと立て合う。
夏油くんはお腹を抱えてひぃひぃ笑っている。
大丈夫かな?
がんばって!夏油くんの腹筋!!
さて、すっかり目の覚めた夏油くんは五条くんに任せて。
そろそろ硝子ちゃんを本気で起こさないとね。
なんて思っていたら今の騒ぎで気がついたのか、硝子ちゃんがのっそり上半身を起き上がらせていた。
「んー…うるさ…」
「硝子ちゃん、起きた?」
「……ん…?」
「うん、わたしですよ~」
まだ寝惚けてるのかなぁ?
ぽやぽやとした表情。
いつもはしっかりと意思をもつ瞳がとろんとしている。
うふふ、かぁわいいなぁ。
…あ、髪の毛ちょっと食べちゃいそう。