第6章 4ページ目 お花見わっしょい(3)
「…なんで?」
「え?」
「は、私にこうされるの…嫌?」
へにゃんと眉を下げて、夏油くんが寂しそうな声で聞いてくる。
ほんのり潤んだ瞳と、赤く染まった目元が色っぽい。
ひやああ!どうしちゃったの夏油くんんっ!?
な、なんか、なんだか見ちゃいけない感じするうう!!
いつものちょっと失礼で優しくて五条くんといると子供っぽいけど大人でかっこいい夏油くんはどこいったの?
これはこれで大人は感じるけど、なんか違うっ。
「や、あの、嫌じゃない。嫌じゃないんだけどね?」
「嫌じゃないなら、いいよね。もうちょっとこのまま…」
あああ嫌じゃないけど心臓と魂が口からバイバイしそう~~っ。
ドキドキが激しすぎて持たない、苦しい、ひええええん。
助けて硝子ちゃああんっ!!!!
ガツッッ!!
「っっ…!!」
「……へあ?」
なにか夏油くんの体越しに振動がきた、と思ったら夏油くんが頭を押さえて沈んだ。
あ、体が自由!やたぁーー!!
ふと夏油くんの背後を見れば、いつの間に来たのか五条くんが立っている。
「……」
んや?なんだか嫌な予感…。
五条くんの大きな手が目の前にぐわっと迫ってくる。
「おーまーえーは、何やってんだよ!」
「あっいたたたたた!いたいっ、痛いよう五条くん!!」
わたしの頭をガシッと掴むと、そのままギリギリと締め上げてくる五条くん。
ひにゃああっ、いたいっ、痛いっ。
われるっ、割れちゃうう!!
ぺちぺちぺち!必死で五条くんの手を止めるべく叩く。
ギリギリギリギr…。
いたいいたいいたいいいいっひいいいんっ!!
涙目になったところで、ようやく気が済んだのか。
五条くんは手を離して溜め息を吐いた。
「あんま、ぼーっとしてんじゃねーよ」
「…うう、し、してないもん…」
ぼーっとしてなくても、時に事件は起こるものなんだよ五条くん。
うはぁ…い、痛かったぁ…本気で頭ぱぁーんするかと思った…。