第6章 4ページ目 お花見わっしょい(3)
現状:硝子ちゃんと夏油くんがレジャーシート上で眠り込んでいる。
対処法は……もちろん起こす一択だ!
春とはいえ夜は冷える、このままじゃ二人とも風邪をひくかもしれない。
うん、それはいけないね。
というわけでー。
「硝子ちゃーん?起きてぇー、風邪ひいちゃうよー?」
声をかけながら、横になって幸せそうに目を閉じている硝子ちゃんの肩を揺らす。
「んー……すやぁ…」
「硝子ちゃあん…寝ないでぇー」
ダメだ、かわいい。
じゃなくて!
うぐぐ…起こすのかわいそうだけど、ちゃんと部屋のベッドで寝かせなきゃ。
「硝子ちゃあん、おーきーてぇー?」
「……すよぉ…」
…くう、ダメだ。
天使の寝顔な硝子ちゃんはひとまずおいといて。
先に夏油くんを起こすことにしよう。
「夏油くんっ、起きよぉー!ねぇーえ?」
夏油くんは体が大きいので、力をめいっぱい込めてガシガシ揺さぶる。
ふぬ、う……これは、ちょっとした力仕事だなぁ。
筋肉どれだけついてるの?すんごく重たいんだけど!
「んん……う……?」
「あ、起きた?」
「…ん?…ああ、すまない。寝ていたのか…」
「うん、起きてくれてよかっふぎゅ?」
んん?……目の前が黒い。
一瞬なにが起こったのかわからず、目をぱちぱち瞬かせる。
「ふふふ、は小さいね。可愛いなぁ」
「ひっにゃ!?」
耳元で声が聞こえて、肩がビクッと大げさに揺れた。
くすぐったぁーーい!!
なにごと?今の声は…もしかしなくても…
「げげ夏油くんっ?」
「はは、なんだい?」
目線を黒から上げれば、にっこにっこご機嫌な笑みを浮かべた夏油くんの顔。
わあーーーー、いっけめぇえん。
でも、ここまで輝かしい笑顔は見たことがない。
どうしたの?っていうか。
いきなり抱きついてくるなんて、どうしたの!?
「あの、あのね?夏油くん…腕をね、離してくれると嬉しいなぁーなんて…思う、ますっ」
わたしの体は今、夏油くんの逞しい腕によってむぎゅぎゅーっと胸元に抱き込まれていた。
それはもう抱き枕のように。
うひょあー、これはちょっと恥ずかしいぞーさすがに!