第5章 4ページ目 お花見わっしょい(2)
「よし。あー…個人的に食いたいもんとか買えばいいんじゃない?あと飲み物」
「あ、そっか」
飲み物のことすっかり忘れてたなぁ。
コーヒー?緑茶?炭酸?紅茶?どうしよっかな。
「五条くんはなに買うの?」
「スイーツ」
「なるほど」
すごく納得して大きく頷いた。
それからポテトや焼き鳥、アメリカンドッグにお団子をいくつか…あと飲み物も買って。
コンビニから出たら、もう外はすっかり夕焼け空だった。
春はまだまだ、太陽が沈むのが早いなぁ。
鳥の群れが寝床へ帰っていくのが見える。
カラスがカァカァ鳴いているのが聞こえる。
「カラスが鳴くからかーえろ」
「なんだそれ」
「よく言うでしょ?え、言わない?」
「聞いたことはある」
いくぞ。とも何とも言わず、コンビニ袋を両手に揺らして歩き出す五条くん。
協調性という言葉よ。
数瞬遅れて、ててて…と小走りで五条くんを追いかける。
「五条くん、まってよ~」
「遅い。早くしねーと、傑も硝子も待ってるぞ」
「それはそうだ!急ごう、五条くん!」
お団子だけ入った小さなビニール袋。
それをぐんっと空にかかげて気合を入れる。
よしっ!とてて…っとまた小走りだ。
コンパスが違い過ぎて、早歩きじゃ追いつけないんだよね。
当り前のように重たい荷物を持って歩く五条くんを見上げる。
優しいなぁと思って、うれしくてにへへっと笑いがもれた。
「ん、なんだよ?」
「んー?えへへ、五条くんがやさしくて嬉しいなぁって」
「はっ?え、あ…?」
五条くんが驚いたように足をとめて、わたしを見下ろす。
ちょっとズレたサングラス。その向こう側からのぞく目は、大きく開かれて丸々としている。
うわぁ、睫毛ばっさばさぁ~。
じっと見ていると、白い頬や耳の先までがじわじわ赤く染まっていくのが見えた。
「ばっかじゃねぇの!さっさと帰るぞ!!」
「…うへへ、うん!帰ろう~!」
もしかして、照れたのかな?
かぁわいいなぁ~五条くん。
意地悪しないときの五条くんは、やさしくてかわいくて。
すきだなぁと思う。
いっつもこうならいいのに………んん、それはそれで変な感じ。
うん、いつもの五条くんがいちばんだな!