第5章 4ページ目 お花見わっしょい(2)
走って、走って、走って、走る。
五条くんの近いようで近くならない背中を追いかけて。
走って、走って、走って、走りきった。
「ぜぇー…ぜぇー…ひっう…ふはぁー…へはぁー……」
「………大丈夫か?」
それ、もっと前に聞きたかったなぁ…。
さて、地獄の五条くん追いかけっこも終わって。
息も整って、汗も拭った。
コンビニは目の前にある。
「いざ、出陣!」
「なんでそんな気合入ってんの?何と戦う気なの?」
不思議そうな顔をする五条くん。
えー…だって、さっき追いつけなかったから勝負は五条くんの勝ちでしょう?
つまりはこのコンビニのお支払いはわたし持ち、というわけで。
それは気合も入るってものですよ。
ふんす!鼻息荒くそう答えたら。
「あー、アレ?冗談に決まってるだろ。ガキんちょに奢られようなんて、はじめから思ってねぇよ」
バーカ。そう言って五条くんがにししと笑う。
は や く い っ て よ う ! ! !
あんなに息切れするほど必死で走ったのにぃいっっ。
気分よくコンビニに入ろうとする五条くんに、むきぃーってなって、両手を構えて突撃!思いっきり膝かっくんをした。
いひひ、おまぬけさぁーん!
ちょっと怒った声が聞こえたけど、しーらなぁーい。
五条くんを置いてしゅぱっと素早くお店の中に入る。
ふぃー…いい仕事したなぁー。
あとで硝子ちゃんと夏油くんにほめてもらおうっと!
それにしても…
「お花見の買い出しって、なに買えばいいんだろう?」
うーん…ご飯はお弁当を用意してもらうし、食べ物ってそんなにいる?
顎に手を当てて考えてたら、のしっと頭にでっかい何かが乗る感覚。
うぐ、重い…。
「お、い。何してくれてんだ?」
「やぁ五条くん。それよりさぁ、なに買うの?なに買えばいいの?」
「それより、じゃねぇんだよ」
「うぎゃ重い重い重んぐぐぐぐ、ごみんなしゃい!!」
さすがに五条くんの全体重が頭にのったら死ぬよ。
首ポッキリいく前に床でべしゃんて潰れるよ。