第5章 4ページ目 お花見わっしょい(2)
ほう、かご、です!
いえーーーっ!!!
「五条くん五条くん、放課後だよっ、放課後!!」
すっくと席から立ちあがると、まだ椅子に座ったままの五条くんの横でぴょんぴょこ跳ねる。
「わーかってるから、跳ねるなウサギ」
「早く行こうよ、はやくはやく~!」
跳ねるなと言われたので、かわりに手をぱたぱたと振って急かす。
「わかったから落ち着けって。羽ばたくなスズメ」
「う、うぬぅ…」
どうあっても小動物あつかい。
表現が豊富ですね五条くん。
動くことを止められたので、うずうずしながら五条くんをじぃっと見つめる。
「ぷっ…そんな目すんなよ」
そんな目ってどんな目?
小さく笑いながらようやく立ち上がる五条くん。
「ククッ…エサお預けされてる犬みたいな目。ほら行くぞ、わんこ」
わたしの頭をついでとばかりにぽんぽん叩くと、さっさと歩き出してしまう。
ああっ、待って待ってぇー!
「硝子ちゃん、夏油くん、行ってくるねー!」
「気をつけて行ってくるんだよ」
「五条のバカにちゃんと手を繋いで歩けって言っとけー」
「気をつけるけど、手はどうかなぁ~~?また後でね!」
わたわた二人に声を残して、急いで五条くんを追いかける。
五条くんは背が高いから、歩くのも早いんだよねー。
まってまってまってぇ~~~!!
「五条くんちょっとまってぇ~~っ」
ちょっと遠い背中に叫ぶと、五条くんがゆったりした動作で止まって振り返る。
あ、よかったぁ。これで追いつける。
かと思えば…
「ええっ、五条くんんっ!?」
ニヤリと意地悪く笑った五条くんは、再び背を向けて走り出してしまった。
えええ、なんでなんでなんでぇーーーっ!!!?
混乱しながら、わたしも慌てて走り出す。
「ごじょうくううううんんっ!!待ってよぉおうっ、なんで走るのぉおーーーっ!!!」
「コンビニまで競争なぁーーーっ、負けた方のおごりってことでぇーーー!!!!」
「うええええええっ、ずるいいいいいいーーーーーっ!!!!!」
うあああんっ、五条くんずるいよ速いよ足長いよぉおう!!!!
泣きそうになりながら走る。