• テキストサイズ

夜行観覧車

第3章 地獄の沙汰も最強次第。【高専五条成代 / 夏油】





 「あのさー確認したいんだけど、アンタなんとか傑、だった
 よね?」
 
 「ん…あぁ、そう。夏油 傑だよ。君は五条さん、だったね」
 
 「いや、いいよ星来で。五条って、あんま慣れてないか
 ら」


 「分かったよ。じゃあ、星来と呼ばさせて貰う」



 「ん。改めてよろしく、傑」

 そんな、感じだった、気はする。気は。
 まぁ何にせよ、出会いの挨拶なんて今はどれもそんなに
違わない。こんなもんだろ。
 
 アレだ。結構、他人行儀だった、昔は。


 硝子とは同性同士なのか何なのか、割と普通に接せれたんだけど、傑はマジで、なに考えてんのか分かんなさ過ぎて。

 けど不思議と、そんなこいつがだるくは無かったんだよな。




 アレはなんて言えば適切なのか、多分あの時のだれにも
分からない。


 「地獄って、どういう定義なの?あの言葉は」
 「んー?」

 だからあの時言った事だって、ホントはぜんぶ、ほんとだったんだ。



 信じなくてもいいよ、別に。

 俺が信じ合うことなんて見つけ出せなくて、でもそれで、
とっても満足だった。

 「……あんま考えたことねぇーかも」
 
 「フフ、だろうね。星来の事だ、きっとそうだとは
 思ってたよ」
 「…………なんかムカつくな」


 でも、考えてみると本当に。




 地獄って、なんだろう?
 
 そんなの、誰も分かり得ないのは当然だったのに。
 


 「……細かい事まで決めてない。けど、

 俺らが疲れてこれ以上ない時は、俺らは休む。
 迷ったら傑が俺の手取って案内して。お前が離れたくなったら
 俺は、全力で術式展開させて止める。死ぬほど。



 …そういう、単純な、いつでも戻ってこれる繋がりが
 欲しんだよ。俺が俺である為に」



 傑は、黙って聞いていた。

 笑うような奴じゃないってことくらいはもう分かってる。
 だから俺が哂った。





 「正しくなければ、何でも良いんだよ」

 お前は夏油 傑で、俺は五条 星来だ。
 それこそがこの地獄で、一番間違っている事実なんだった。





 やがて傑は、俺の名前を呼んで笑う。

 「…そうだね、星来」
























 
/ 11ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp