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夜行観覧車

第1章 天才が無傷と裂傷を繰り返す孤独につき。【爆豪成代 / 緑谷】



 

 「……でめぇそれ以上近づいたら即ゴロス…」
 「いや訓練、なんだけど…」
 
 知るか死ね。そう吐き捨てると、こいつはまた、困ったような
顔をした。きもい。



 不快だ……………何だって、このクソナードとペアなのよ…。

 まぁこいつに構ってる暇なんかないから、別にいい。




 「とっ、とりあえず、近距離と遠距離、あっちのチームは両方
 得意だから、まず遠距離ある轟くんから崩していって、
 せいちゃんが麗日さんを。
 …っていうのが、一番堅いと思うんだけ、ど………」


 「ざけんな!!なんであんたに言われてわたしが動かなきゃなん
 ないのよ!わたしはあの舐めプ野郎をぶっっっっ潰す!!」

 麗日はてめーがやれ!!!



 「え、いっいやでも、あっちに連携で来られたらこっちの分が
 悪いよ!?先に、轟くんに自由させない方がっ…!」

 「うるせぇいいから黙ってわたしに従っときゃいいんだよ
 グズ!!」


 




 いい気味。もっと早く黙ってろよお前。一生喋んな。

 「そもそも考え方が間違ってんだろ。麗日とあいつが連携
 したところで、メリットになる効果薄すぎんだから」


 「……?、どういう、」

 「あいつらの“個性”の相性。別に良くないっつー事よ」


 麗日が体育祭で見せた、アレ。
 負担を考えると連発は無理だし、そもそもの武器集めに時間
も食うわ。

 
 「紅白頭の“個性”じゃ、一瞬で武器集めんのは難しいでしょ。
 それに氷結はクソ邪魔になるから、麗日の視界も大幅に塞ぐ」
 
 「あ……そっか…!じゃあ彼らの距離をなるべく離さず、」



 「うるせぇ!!!口挟まねぇで黙って聞け!!」
 「うっ………、ご、ごめん、」


 「……開幕ぶっぱさせれば、麗日はお前に近付いて浮かせよう
 としてくんだろ。そこ叩け」

 「…!う、うん!…せいちゃん凄いね!、」
 

 
 はぁ?当然、わたしが考えた策なんだから。

 まだうるさくわたしの事を呼ぶこいつを背に、スタスタと歩みを進めた。






 その時、やけに柔らかかったあいつから見て、前にいたわたしがどんな風に見えていたのかは知らない。

 ただ、わたしの前にはまだ誰もいない―――――――――















 裂傷的無傷な、孤独に蝕まれて。



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