• テキストサイズ

夜行観覧車

第1章 天才が無傷と裂傷を繰り返す孤独につき。【爆豪成代 / 緑谷】


 
 □ 緑谷


 「…で?緑谷どうすんの?」
 「クソナード共が、って言われちゃいましたけどー」
 「まだピリついてんなぁ…。爆豪って、お前には基本あんなん
 だよな」


 「う………、はい」

 そっかー、と三人の声が見事に重なり合う。僕が不甲斐ない
せいで……、うぅう、面目ない…。

 
 「まぁ、しゃーねぇかもな。自分より下だと思ってた奴に急に
 抜かれそうになったら、俺でも焦るもん。あんま気にすんな、
 緑谷も」

 「上鳴くん……」
 「え〜そうか?でも現状でできることやってかんと、それはそれ
 で意味なくね?」
 「いやいや、瀬呂がキチンとし過ぎてるだけだって!」

 「そう、なのかな…」

 
 
 仕方のない、事なのかな。せいちゃんが、僕を嫌うって事は。

 どうしようもないのかも、しれない。やっぱり今まで通り、友達として話すのは、無理、なのかもしれない。

 
 ずっと、このままの距離、なのかな………。





 「―――んな事、ねぇって! 爆豪あいつ、今は戸惑ってるだけだ
 ろ。あいつは何よりも強くあろうとするから、お前の変化も多
 分、まだ受け入れられてねーだけ。


 絶対、あいつは見つけるよ」







 ――――――――――――あいつなりの、答えを。

 切島くんって、すごい。いつもすとんと、素直に胸に落ちて
くるような言葉をかけてくれる。

 瀬呂くんも、上鳴くんも。僕のこんな下らない相談を、真摯に
真面目に受け取って、解決策を探してくれてる。



 「……ありがとう。やっぱりせいちゃんの親友だね。三人に
 相談できて良かったよ」



 

 もう少し、頑張ってみる。自分にも、そう言い聞かせた。




 
/ 11ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp