第1章 天才が無傷と裂傷を繰り返す孤独につき。【爆豪成代 / 緑谷】
□ 緑谷
「…で?緑谷どうすんの?」
「クソナード共が、って言われちゃいましたけどー」
「まだピリついてんなぁ…。爆豪って、お前には基本あんなん
だよな」
「う………、はい」
そっかー、と三人の声が見事に重なり合う。僕が不甲斐ない
せいで……、うぅう、面目ない…。
「まぁ、しゃーねぇかもな。自分より下だと思ってた奴に急に
抜かれそうになったら、俺でも焦るもん。あんま気にすんな、
緑谷も」
「上鳴くん……」
「え〜そうか?でも現状でできることやってかんと、それはそれ
で意味なくね?」
「いやいや、瀬呂がキチンとし過ぎてるだけだって!」
「そう、なのかな…」
仕方のない、事なのかな。せいちゃんが、僕を嫌うって事は。
どうしようもないのかも、しれない。やっぱり今まで通り、友達として話すのは、無理、なのかもしれない。
ずっと、このままの距離、なのかな………。
「―――んな事、ねぇって! 爆豪あいつ、今は戸惑ってるだけだ
ろ。あいつは何よりも強くあろうとするから、お前の変化も多
分、まだ受け入れられてねーだけ。
絶対、あいつは見つけるよ」
――――――――――――あいつなりの、答えを。
切島くんって、すごい。いつもすとんと、素直に胸に落ちて
くるような言葉をかけてくれる。
瀬呂くんも、上鳴くんも。僕のこんな下らない相談を、真摯に
真面目に受け取って、解決策を探してくれてる。
「……ありがとう。やっぱりせいちゃんの親友だね。三人に
相談できて良かったよ」
もう少し、頑張ってみる。自分にも、そう言い聞かせた。