第3章 真実とアリババ
私はふわふわのベッドに座り、髪をいじりながらたくさん考えた。
本当にあるのかわからない銀の羽を探しに行くか。
諦めて別の方法でアリババさんを元気にするか。
後者のほうが早いし確実だと思っても、やっぱりパパゴラスに負けたのが悔しいし、実在するのかどうかすごく気になった。
でも、また怪我をしてはみんなに迷惑と心配をかけるだけ。
そうなるのはやっぱり嫌。だけど、やっぱり諦めたくない・・・
どうしようか迷っていると、コンコンとノックの音が聞こえた。
「・・・はい、どうぞ」
返事してすぐに入ってきたのは、アリババさんだった。
「モルジアナ、起きてたんだな」
「はい。もう大丈夫です。・・・・・・すみません、ご迷惑をおかけしてしまって・・・」
「いや、いいんだよ。もう鍛錬の時間は終わってるから、
俺で良ければ話を聞くぜ。・・・・・・・・・何か、あったのか?」
貴方のために羽を探していたんです、とは流石に言えなかった。彼のためにしていることだし、言ってしまっては意味がない。
「・・・・・・・・・海岸に散歩に行こうと思って、崖に出たんですが、落ちてしまって・・・あまり高さがなかったので、あまり深い傷にはならずに済みました」
嘘を、ついてしまった。
恩人のアリババさんに。
何も答えないわけにはいかない、と思った結果、
口から出たのは虚構の出来事だった。
違うって、冗談ですって言わなきゃ。
心はそう言っていても、口から言葉は出ず、アリババさんは
「それは大変だったな・・・・・・」
と心配そうな顔で話していた。
どうしよう、もう何を話したらいいかわからないわ・・・
頭が混乱してしまい、それを隠すように下を向く。
そんな私にアリババさんは、
「・・・もしかしてモルジアナ、腹減ったか?もうそろそろ飯の時間だし、移動するか」
と検討違いな発言をした。
それがなんだか可笑しくて、くすりと笑い、「はい!」と返事する。
決めた。私はこの人のために、”銀の羽”を探そう。
渡すときに、さっきの発言が嘘だったと言って謝まればいい。
私はそう決意し、歩き出すアリババさんの後ろを追うように歩いた。