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モルジアナと銀の羽

第5章 銀の羽


「はあ・・・はあ・・・・・・アリババさんっ!」
彼はまだ鍛錬の最中のようでシャルルカンさんもいたが、
私の様子を察してか「休憩にするか。」と言って何処かへ行ってしまった。

「どうした?モルジアナ。息が切れてるぞ?」
「あっ、あの・・・・・・」

私はすう、はあと深呼吸して、彼に羽を差し出した。
「これって・・・」
「願いが叶うと言われている、パパゴラスの羽です!
アリババさん、最近疲れているようだったので、渡したくて・・・」
アリババさんはしばらく驚いた顔をしていた。
そしてにっこり笑うと、私にこう言った。

「じゃあ、俺の願い事は、『モルジアナと市場に行きたい』
だ。最近ゆっくりできてねえしな。
・・・叶うって、いつ叶うんだろうな?俺は今でも行けるぜ?」

彼はそう言って、シャルルカンさんの所へ行ってしまった。

・・・そんな、そんな願い事でいいのかしら?
でも、彼が望むなら・・・

私はアリババさんの言ったことを思い出してふふ、と笑うと、彼の元へ歩いて行った。


「まさか本気にしちゃうとは思ってなかったなあ~。」
「・・・ほんとっすよ。ヤムライハさん、銀色の塗料、ありがとうございました」
「いいのよべつに!マスルールくんは優しいわねえ。
まさか巣に銀色に塗った羽を置いておくとは思ってなかったわ。罠を教えてわざと置いたところの近くに仕掛けたのはそのためでしょう?」
「・・・はい。」
「さっすが~、ほんと優しいねえ~!」
「ピスティ、あんた嘘ついたんだから反省しなさいよ!」
「え~っ、いいじゃん。二人共幸せになったんだから!」
「あんたって子は・・・!」
「まあまあ。・・・・・・それより、俺たちも仕事に戻りましょう」


・・・そんな3人の会話は、私の耳には入らなかった。
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