第3章 真実とアリババ
目が覚めると、そこにはアラジンとアリババさんと、
マスルールさんがいた。
「モルさん!目が覚めたんだね、大丈夫かい?」
「パパゴラスに襲われたって聞いて、驚いたぞ!大丈夫か?」
アラジンとアリババさんが、心配そうな顔をして声をかけてくる。
「はい、大丈夫です・・・」
そうは言っても、背中や足がズキズキと痛んだ。治療がしてあるようで、包帯が巻かれているのがわかる。
「じゃあ、僕たちは一度戻るね」
「お大事になー!」
そう言って二人は去っていって、この部屋にいるのは私とマスルールさんだけになった。
「どうして、奥まで行ったんだ」
静かながらも怒気の篭った声が聞こえる。やはり、怒っているようだ。
「すみません、マスルールさん・・・・・・・・・欲しいモノがあって、探していたんです。以後、気をつけます」
「・・・いや、ちゃんと注意しない俺も、悪かった。
欲しいモノって、何だ・・・・・・?」
首を傾げるマスルールさん。大切な師匠の彼になら、言ってもいいだろう。
「あの、私、休憩中に疲れた様子のアリババさんを見たんです。私は彼に助けられたので、前からずっと恩返しがしたいと思っていて・・・・・・ピスティさんに、『パパゴラスの銀の羽を手に入れれば願いが叶う』と聞いたので、探しに行ってたんです」
一気に言い切って、息をしっかり吸った。
ズキズキと痛む背中。あの時のパパゴラス達の様子を思い出す。
怖かった・・・・・・・・・
頭から一度あの時の様子を切り離し、落ち着こうとしたらマスルールさんが立ち上がって言った。
「モルジアナ。それはおとぎ話のようなものだ。実際にそれがあるかはわからない」
時間が止まった気がした。
それは、ということは・・・・・・・・・・・・
”銀の羽”は実在しない、ということ?
「落ち着け、絶対にないとは言っていない。
もしかしたら森の近くに何かそれについて知っている者がいるかもしれない。傷が完治したら、探すといい。
・・・・・・・・・だが、もう無理は絶対にするな」
マスルールさんはそれだけ言って、部屋を出て行った。