第2章 散策の先で見た物
私は鍛錬場所に戻ると、マスルールさんに許可を得た。
随分あっさりと許可が出たので良かったが、忠告が気になった。
「・・・パパゴラスか、十分に気をつけろ。あいつらは自分より弱い者には攻撃的だ。それに・・・・・・いや、いい」
彼の言いかけた言葉が、気になる。
実際に行ってみればわかるかもしれないので深く聞きはせず、私は森へと走った。
早くアリババさんを喜ばせたい。
そんな気持ちが心の中にあった。
*
森の中は意外と明るく、オラミーなどの生物がいるのが見えた。
だが、問題のパパゴラスが見えない。
「どうして、いないのかしら・・・」
きょろきょろと周りを見渡しても、それらしい鳥は見えない。もっと奥にいるかもしれないので、私は周りを見ながら進んでいった。
美味しそうな果実のなる木や見覚えのない生物、綺麗な花などが見える。私は少しわくわくしてきた。
(少しぐらい持って帰っても、大丈夫よね)
そう思い、木に実る赤い果実を取ろうとした時―――――――――
果実が一瞬にして、消えた。
「!?」
驚いて一歩下がり、足元を見やると・・・・・・パパゴラスがいた。
「ギャアーーーーーーーッ!!」
叫ぶような鳴き声をあげ、パパゴラスは足で果実をしっかり抑えて羽を広げた。
逃げるわ!
「待ってください!はああーーーーーっ!!」
私は逃げようとする鳥目がけて蹴りを繰り出した。
パパゴラスはひょい、と避ける。
諦めずもう一度蹴りあげようとするが、森の奥へと飛び去ってしまった。
「逃げられてしまったわ・・・」
この先は薄暗く、少し危なさそうだ。
でも、諦めたくない・・・・・・・・・
「・・・パパゴラスか、十分に気をつけろ。あいつらは自分より弱い者には攻撃的だ。それに・・・・・・いや、いい」
マスルールさんの言葉が頭をよぎる。
森へと走る私の背中に向けて「あまり奥には行くな」と言っているのも聞こえた。
でも、その理由は聞いていない。本当に危険ならすぐに理由を伝えてくれてもいいはずだ。
(ごめんなさい、マスルールさん。もう少しだけ・・・)
私は心の中で師匠にあやまりながら、森の奥へと進んでいった。