第2章 ターゲットからの提案
「…………」
なんの魔力よ、これ。
どんどん力が抜けてく。
勝手に腰がガクガクしてくるし。
「………いきなり悪かったよ。ちゃんと、今度はゆっくり解すから」
「………いたく、しない?」
「…………」
え。
ちょっと待って。
何その間!!
「てゆーかなんであたしが押し倒されてんのよ!!いい加減…………っ、きゃうぅ!!」
だから。
尻尾ね!!
やめてってば!!
「いや、なんかちょっと癖になるかも」
「はぁ?」
「…………はいはい、どきますよ。さすがに昨日の今日で襲う気ねーよ」
両手をあげて、観念したようにあたしの上から退くと。
おっきなため息、ひとつ。
「おまえさ…………」
彼が口を開きかけた、瞬間。
「リッカさまぁ!!」
ポワン、て。
尻尾が光って丸い形が、目の前。
丸い、形。
「ミンク!!」
ベッドに沈み込んだ身体をすぐに起こして、丸い光を両手のひらで、包み込んだ。
出てきたのは。
使い魔の、ミンク。
「リッカさまぁ」
「ごめんミンク!!無事だった?」
「駄目かと思いましたよぉ。でも無事試験合格されたんですね…………」
スリスリとあたしに甘えながらミンクが、彼を見て。
顔色が変わる。
「ミンク?」
「何そいつ、猫?にしては、ちっせーな」
ミンクの尻尾を指先で掴んで彼が、ミンクを覗き混む。
相変わらず顔色を変えたまま、ミンクが彼から怯えるように視線をそらした。
「今こいつ、どっから出てきたの?」
「尻尾から」
「尻尾?」
「ミンクはあたしの使い魔よ。いつもは尻尾にいるの。ただ、魔力がなくなっちゃって、ミンクの形を保ってあげられなくて。良かった、ミンクが無事で」
あ。
しまった。
そーいえばあたし。
ペラペラとさすがにしゃべりすぎ…………。