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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第7章 俺のものと言う意味



「でも今朝のあんなに楽しそうに笑う信長様、俺初めて見たんだけどなぁ」

チラッと向けられる視線が痛い。

「そんな事ないよ。信長様のあの顔見た?女の人の前でデレデレしちゃって…、どうせ誰にでも「貴様は俺のものだ」とか言って自分の馬に乗せてカッコつけちゃってるに決まってるよ!」

そうだよ。誰にでも思わせぶりな態度を取る人なんだ。
そんな人に、少しでも特別扱いされてるなんて思いかけてた自分がとても恥ずかしくなった。

「え?信長様はそんなことしないよ?」

「え?」

「俺は信長様の小姓だから、秀吉様以上に信長様の近くでお仕えしてるけど、信長様が誰かをご自身の馬に乗せたのなんて見た事ないし、女の人に俺のものだとか言うのを聞いたことは無いよ?」

「そ、そうなの?」

「あれー?伽耶様もしかして喜んでる?」

「!」

確かに、今の言葉を聞いて頬が緩んだ自覚はある。

「っ、そんな事ないよ」

でも認めたくない私は蘭丸君から目を逸らした。

「ふーん、そうなんだ」

「っ、そろそろお城に戻ろうか?」

これ以上あの二人を見てたら嫌な気持ちが増えてしまうし、蘭丸君の鋭い質問にはもう答えられそうにない。

「ん〜、俺伽耶様に命を助けて頂いたし、大好きになっちゃったから良いこと教えてあげる」

蘭丸君は笑顔で私の胸元の懐剣を指差した。

「その懐剣、信長様に頂いた物でしょ?」

「え、…うん」

「それ、かなり特別な物だって、伽耶様分かってる?」

「一応…ステキな細工とか、軽さとかを重視して選んでくれたって聞いてはいるよ?」

胸元から懐剣を取り出して蘭丸君に見せた。

「そんな事じゃないよ」

「え?」

「ここ見て、織田家の家紋が入ってる」

「あ、うん。そうだね」

胸元に入れると柄だけが見える形になり、その柄に大きく押されたこの家紋がとても目立つと思ってはいた。

「家紋は、勝手に作ることも変えることもできない、その家を表すとても重要なもので武士の誉でもあるんだ」

「う…ん」

「家紋の入った物を与えると言う事は、その者への信頼や褒美の証で、信長様がそれを伽耶様に与えられたって事は、信長様が伽耶様を大切に思ってるって事なんだよ?」


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