第7章 俺のものと言う意味
「所で伽耶様、俺たち前にどこかで会ったことない?」
「え?」
なんだか…ナンパによく使われる言葉だけど…、そう言う意味ではなさそうだ。
「ない…と思うけど…?」
(こんなアイドルみたいな子に会って忘れるわけがない)
「ほんとに本当?」
蘭丸君は顔を近づけジーーっと見つめてくれるけど…
「ないない。蘭丸君みたいに可愛い男の子に会ったら絶対に忘れないよ」
「わー、可愛いなんて嬉しいな。ありがとう。そっか、そうだよね。俺も伽耶様みたいに綺麗な人に会ってたら忘れないもん。勘違いしちゃった」
「あはは、綺麗なんて言ってくれてありがとう。そんな事言ってくれたの蘭丸君が初めてだよ」
「ふーん、そうなんだ。ねぇ、伽耶様、町に行くなら俺も一緒に行っていい?」
「うん、もちろん」
「わぁ、じゃあ荷物持ってあげる」
「ありがとう。じゃあ一つお願いしてもいい?」
「うん!」
急に可愛い弟ができた気分だ。
蘭丸君に城下のおすすめスポットやお店を教えてもらいながら、私は着物を無事に依頼先へと届け終えた(若旦那のお店とは別のお店)
「ねぇ、伽耶様って有名人なんだね」
呉服屋を出て暫く歩いた時、蘭丸君がそう言った。
「え、何で?」
「だって、さっきから伽耶様の方を見てみんなが噂してるよ?」
「ああ、それは…」
蘭丸君の言う通り、最近私はこの近辺でちょっとした有名人となっていた。
それはこの間の若旦那の件と、その前の路地裏で襲われそうになった際の信長様の”俺のもの”と”俺の女”発言のせい。
どうやって広まったのかは分からないけど、気付けば私は信長様の寵姫と言う事になっていて、歩くたびに「ほらあの人よ」的な事をヒソヒソ話されていた。
「信長様と伽耶様は恋仲なの?」
キラキラスマイルからどストレートな質問が飛んできた。
「ちっ、違うよ!全然違う!」
「なーんか、その狼狽え方が逆に怪しいかも?」
「そんなこと………!」
信長様との関係性を必死で否定している時、ある光景が目に入った。