第7章 俺のものと言う意味
かぷっ
「……んっ」
(うそっ、耳噛んだ!?)
「やっ、何してっ、信長様っ、んっ」
「ほぅ、貴様はそういう声で啼くのか」
そうでなくても低い声はゾクリとするものがあるのに、虐められている耳元で囁やかれるとそれだけで込み上げるものがあり我慢ができない。
「んっ、…っ、わ、分かりました。持ちます。持ちますからっ」
「あっけないな。もう降参か?」
ヌルッ、
「ひゃあっ!」
(油断したっ!)
もうされないと思って気を抜いた途端に、耳に舌が侵入した。
「その声も中々良い」
「ん、やめっ」
(ヤバい、こんな事が久しぶりすぎてかわし方が分からない)
「もう、無理、信長様…」
チュパっと、耳を覆いたくなるほどの卑猥な音を立てて、信長様の悪戯はやっと止まった。
「……っ、ぅーーー、」
(もう涙目だ)
「ふっ、これに懲りたら少しは聞き分け良くなるんだな」
信長様は私の袷に再び懐剣を差し込んだ。
「ぅーーーーー」
(分かりましたなんて絶対に言ってあげないっ!)
「っ、話が済んだのなら帰ります」
膝上から逃げるように立ち上がった。
つもりだったのに…
「……っ」
まさかまさかの人生三度目の腰抜け…
「どうした。帰るのではないのか?」
笑いを堪えた声に、気付かれてるのだと分かる。
「か、帰ります。……もう少ししたら…」
「クッ、貴様の腰は一体どうなっておる?」
「信長様が変な事するから…今までのも全部信長様のせいですからね」
(こんなに短期間で三度の腰砕け…現代に帰ったら整体行き決定でしょ)
「あれ位で腰を抜かすとは先が思いやられる」
「あれ位って、あんな事普通はしません」
「普通でなければ良いんだな?」
「……っ!うぅーーー」
(何を言っても返されてしまう。悔しい…)
「そろそろ立てるだろう?それとも続きをしてやろうか?」
フッと、耳に息を吹きかけられ、その驚きですくっと立ち上がれた。