第7章 俺のものと言う意味
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「……っ、夢かぁ」
久しぶりの大地の夢。
ここ最近、やたらと信長様に”俺のもの”発言をされたから、懐かしい夢を見たらしい。
「でも、大地の夢見て初めて泣いてないな…」
現代にいた頃より大地の事でクヨクヨする回数も思い出す事も減った気がする。
「まぁ、あまりの異次元体験が毎日続くから、くよくよしてる暇ないしね」
失恋旅行はかなりな長期旅行、しかもタイムスリップとなってしまったけど、私には必要な時と場所だったのかもしれない。
「でも、何で男の人は、すぐ俺のものって言うんだろ?」
付き合ってる人にだけ言うわけではないのだと、信長様と出会って知ったし…男性が女性の心理が分からないように、女にも男の気持ちは分からない。
「あー、考えても仕方ない。ご飯ご飯」
大切な一日二回の一食目。分からない男心で食べ損ねては大変。
約一月ですっかり着慣れた着物を着て、私は大広間へと向かった。
「そう言えばあの指輪…どこいっちゃったっけ?」
薬指を陽にかざし見ながら、指輪のありかを考える。
つける気にはならなかったけど、大地からもらった物だから大切にどこかの引き出しに入れた気がする…
「でももういらない物だし、必要ないしね。何よりあのブランド品なら高価買取だと思うし…」
現代に戻ったらリサイクルショップにでも売りに行こうかな。なんて思いながら大広間へと入った。
「おはよう…ござい………ます?」
挨拶の言葉はどんどんフェードして行った。
広間はいつもの雰囲気とは違い、一人の男性が脇息にもたれて座る信長様の前で土下座をし、それを武将たちが取り囲むように見ている。
(どうしたんだろう…?)
気にはなるけど、聞いてはいけない雰囲気を醸し出している。
とりあえず、いつもの場所に腰を下ろした。
「蘭丸、腹を切れ」
突然広間に響いた怒声。
(へっ?いきなり何っ!?)