第7章 俺のものと言う意味
「ありがとう。…でも、何で急にプレゼントをくれたの?」
残るもう一つの可能性だと大地の口から聞きたくて、私はプレゼントの意味を聞いた。
「昨日スロットで大当たりしてさ。お前ここのブランドのアクセ、何でもいいから欲しいって言ってただろ?ちょうど景品にあってさ。サイズもちょうど良くて良かったな」
その言葉で、薬指の指輪が急に価値のないものに思えた。
きっと付き合い始めたばかりの頃なら、素直に喜べたのかもしれない。こんな風に思う自分はなんてわがままで贅沢な女なのだと、何度も心の中で自分に言い聞かせ、私が欲しがっている事を覚えてくれいて、どんな方法であれ手に入れて贈ってくれたのだから喜ぶべきだ、とも思おうとしたけど、考え方を変えることは出来なくて…
「そっか、ありがとう。大切にするね」
その場ではお礼を言ったけど、私はその指輪をすることはなかった。
「別に社内恋愛禁止ってわけでもねーし、バレてもいいからしろよ!伽耶はまだ彼氏いねーと思われてんじゃん?俺の同僚でもお前狙ってる奴いるし、これしとけば伽耶は他の男の、俺のもんだってみんな思うだろ?俺も安心するし」
「俺のものって…」
(それなら、大地だって同じ指にしてよ…たくさんの女子社員に言い寄られてるの、しってるよ?)
「伽耶は俺のもんだろ?だってお前、俺のことめっちゃ好きじゃん?」
(好きだけど…、好きじゃない)
心の言葉は飲み込んだ。
「好きだよ。だから大地もあまり私を不安にさせないで」
「当たり前だろ、可愛いやつ」
顔を崩して笑いながら大地は私を抱きしめる。
酒もタバコも、女遊びもギャンブルも…、大地はその全てに手を出していると知るのに時間は掛からなかった。私は大地のものだと言って縛り付ける癖に、大地はいつも自由に飛び回る。
それでも、「俺のもの」と言う言葉に私はいつもキュンとして、愛されてると思って安心をしていた。