第1章 不幸な出来事は続く?
「ちょっ、ちょっと待ってっ!私あなたと一緒に行くなんて一言もっ!」
元の世界に戻るには来た場所からって言わない?ここを動くわけにはいかないよ!
「女、貴様…名は何と言う?」
「え、……伽耶…だけど」
「伽耶…か。では伽耶、オレを助けた褒美は安土でやる。それまでに何が欲しいか考えておけ」
「だから私は一緒に行くなんてひと言も……」
「三成、俺は先に安土へ戻る」
「はっ!」
三成と呼ばれる青年は深々と頭を下げ、信長と名乗った男は、家臣が引いて来た馬に跨り行ってしまった。
まるで時代劇のようなこの光景…
(本当に、戦国時代にタイムスリップしちゃったんだ…?)
「伽耶様、それでは我々も参りましょう」
オレ様イケメンが去った後は、爽やかイケメンの登場だ。
「参りましょうって…どこに?」
「織田信長様が居城、安土城にです」
ニコッと、効果音が聞こえそうなほどのスマイル。って、いやいやいや、そのスマイルには騙されません!
「…あの、知らない人について行ってはいけないと親から教えられてますので行けません」
安土城って…えっと何県だっけ?確か琵琶湖の方でしょ?そんな所に連れてかれたら本当に一生戻れなくなるっ!
「そう言えば紹介がまだでしたね。大変失礼致しました。伽耶様、私は織田信長様の右腕である豊臣秀吉様の側近の石田三成と申します」
「石田…三成……?」
(って、あの関ヶ原の合戦で徳川家康に負けちゃう人?)
「はい。よろしくお見知り置きを、伽耶様」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「では自己紹介も済みましたし参りましょう」
爽やかスマイルに絆され一緒に歩き出した私…
「違う、違うの、あの聞いて下さい。私は帰らなくちゃいけない所があって、あなたと安土城に行くわけにはいかないんです」
本当に、早く元に戻る方法を考えないと…