第1章 不幸な出来事は続く?
「そうですか。…困りましたね」
「はい。困ってます」
「信長様の命は絶対ですし、この本能寺は信長様のお命を狙った輩がまだ潜んでいるかも知れず大変危険で、伽耶様をこのような危険な地に残して行くわけにも参りません」
「本能寺っ?ここって、あの燃えてる建物って本能寺なの!?」
「はい」
「………っ、」
そういえばさっき織田信長もそう言ってたよね…?名前とか時代とかに気を取られてたから聞き流してたけど…
「此度の京に滞在する信長様の宿所としておりましたが、何者かが忍び込み命を狙った様です。伽耶様?」
「ちょっとごめん」
少し考えさせて欲しいと手でお願いをして、私は頭の中を整理した。
要するに、私は現代の本能寺跡地からこの戦国時代の本能寺に、しかも本能寺の変の夜にタイムスリップしたって事?
そして偶然にも織田信長を助けちゃったって事!?
「ヤバい、……歴史変えちゃったかも……でも、あんな状況で助けないとか無理でしょ?」
「伽耶様は信長様のお命を救った大切なお方です。先ずはそのお礼をと信長様も申しておりましたので、このまま安土においで下さい。ここは危険です。安土にお寄り頂いた後で、伽耶様をご希望の地までお送り致しますので」
ね。と天使の様な笑顔で言われたので降参です。
確かにさっき信長様の命を狙ってるっぽい影を私はしっかりと見たし、その人が私を口封じに殺そうとしに来るかもしれない。
「じゃあ、そうします」
手元にあるのは、ガイドブックとスマホと充電器と財布の入ったバッグのみ。
私の戦国ライフはこんな形でいきなりスタートした。