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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第6章 本職



「浮かぬ顔をしておったがどうした?」

「いえ、ちょっと困った事が起きてて悩んでるだけです」

「貴様でも悩む事があるのか?」

「ありますよ。人を考えナシみたいに言わないでください。そうでなくても信長様から頂いた肩書きのせいで困ってるんですから」

「肩書き?」

「えっと、身分のことです。織田家縁の姫って身分で困ってるんです」

「誰もが平伏してでも欲しがると言うに貴様はやはり不思議な女だ…で、その肩書きのせいで何をそんなに困っておる」

「えっと、それは…」

(若旦那の事は言わない方がいいよね…?)

「大した事ではありません。身に余る身分をいただいて恐縮しているだけです。偉くなりたいとか身分とか、そう言う事を考えたことがなかったので」

「ふっ、貴様らしい甘っちょろい考えだな」

「あ、ばかにしてますね?」

「いや、貴様のその駆け引きのない真っ直ぐな物言いは嫌いではない。この世は嘘と謀ばかりだからな」

そう言う信長様の目は少し寂しそうに見える。

「でも信長様はそんな思いをしても偉くなりたいんですよね?」
(皆に恐れられ恨まれても…)

「当たらずも遠からずだな。俺が戦をするのは、力をつけねば己の大望を叶えられぬからだ」

「大望?」

「そうだ。天下泰平の世を築き身分に左右されない世を作る。その為にもこの日ノ本を一つに束ねる必要がある」

初めて聞く信長様の野望。

「でもその為に、たくさんの人を犠牲にして戦をするんですか?」
(自らの身だって危険に晒されるのに…)

「戦をする以外でこの世を一つに束ねる方法があると貴様は言いたいのか?」

「え、話し合い…とか?」

「ふっ、そんなもので出来るのならばとっくにそうしておる」

「そうですよね…」

現代だって、人種や言語、文化や宗教が違うと言うだけで戦争は起こってしまう。

「それに俺は、この方法しか知らん」

「信長様…?」

吐き出すように言うから気になって顔を見れば、冷たいと思っていた目が今日は寂しそうに見える。上に立つ者は孤独だと聞くけど信長様もそうなんだろうか?

「信長様も色々と大変なんですね」

その言葉に返事はなかった。

結局その日は、聞こうと思っていた彼女がいるのかを聞く事を忘れ、若旦那の話もそのまま逸れてしまって会話は終了した。







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