第6章 本職
ここ数日で、信長様はとても恐れられていて、光秀さんは疑惑を持たれていて、その他の武将たちはとてもおモテになると言うことがよく分かった。
(まぁ、秀吉さんは確かに優しいし、政宗もあの色気でじーっと見られるとドキドキするから二人がモテるのは良くわかるなぁ)
「お、伽耶、こんな所で会うなんて奇遇だな」
噂をすれば(もとい聞けば)、モテ武将ツートップのお二人が向こうから並んで歩いて来る。
「秀吉さん、政宗」
「きゃーーーーーー!!秀吉様っ、政宗様っ!」
二人を呼ぶ声をかき消されるほどの黄色い歓喜が沸き起こり、二人はあっという間に女子達に囲まれた。
「秀吉様、文を書いて来ました。読んで下さい」
「私も読んで下さい」
「私もっ!」
「政宗様、美味しい甘味屋を見つけました。ぜひ今度ご一緒に」
「あら、ずるいわっ、私もお誘いしようと思ってたのに」
「それを言うなら私が先よっ!」
綺麗に着飾った女の子達が二人を取り合っているけど、、当の二人は笑顔で上手に交わして行く。
(二人とも女の子の扱いに慣れてるけど、彼女はいないのかなぁ…?)
女子に囲まれる二人を見ながら頭を掠めた疑問に、私はある事に気づく。
(そう言えば、信長様には彼女はいないのかな?この時代は恋仲って言うんだっけ?私を落とすとか俺のものだとか言ってたけど、もし彼女がいるのにあんなことを言っているなら誤解されるんじゃ…それに彼女さんにも申し訳ないし…これは次に会ったら必ず確認しなくちゃ)
そんなことを考えながら、ぼーっとアイドルの出待ちのような光景を見ていると、秀吉さんと目が合った。
「伽耶、そんな所で突っ立ってないでこっち来いよ」
笑顔で手招きする秀吉さん。
「あ、うん」
女子達の視線は一斉にこっちに向けられる。
(こっ、怖いっ!)
誰この女?って、聞こえなくても視線で感じながら私は二人の近くに行った。