第30章 シークレットサンタ
「最初で最後ならば、余計見ねばならん。隠すな」
「っ……」
恥ずかしくて逃げたいのに、紅い目に捕えられて動けない。
褥の上で固まった私の髪を信長様は梳くように手に取り、パラパラと落とす。
「これ程に心躍る贈り物は初めてだな」
「本当ですか?」
(恥ずかしいけど、この言葉は嬉しい)
「本当だ」
信長様は私の左手首のリボンを解くと、そこにちゅっと音を立てて口づけた。
「んっ、」
触れられた所がじわりと熱をもつ。
そしてもう片方の手首も……
「っ、あの…全ての紐にそれをするつもりですか?」
「当たり前だ。贈り物はゆっくりと、楽しみながら開けねばならんからな。しかもこれは此度が最初で最後だと言う。余計に味わう必要がある」
イタズラな笑顔を私に向けて、ちゅっと、私の手の指先に口づけを落とした。
「っ、もう沸騰しそうです……」
「まだ手に触れただけだ」
口づけた指の先をハムっと今度は食まれた。
「んっ……!」
ゾクっと体の芯が疼いて思わず声が漏れる。
「今からそれでは保たんぞ」
私の反応を見てクスッと笑う信長様はやっぱり余裕で悔しいけど、私はもういつ溶け出してもおかしくない程に体は火照り痛いほどにバクバクと胸は鼓動を刻む。
「天女の羽衣を脱がしている気分だな」
楽しそうにレースのリボンをゆっくりと引っ張りながら、信長様は私の体に更なる熱を灯していく。
「ん、」
スルリと私の体からベビードールを脱がせると、信長様はそれに口づけ褥の下へと隠した。
「?」
(何してるんだろう?)
「これを返せば貴様は天に帰ってしまうからな。隠しておかねばならん」
ニッと、信長様は口角を上げてイタズラな笑みを浮かべる。
「っ……」
(な、なんて可愛いことをっ!)
不意打ちにズキューンと胸を撃ち抜かれた私は、信長様の片手を取り指を絡ませて想いを伝える。
「帰そうとしても帰りませんから、ご心配無用です」
自分がプレゼントだなんて、一生言わないししないと思っていた事もやってしまうほどあなたが好きなのに、離れたりなんかしない。