第30章 シークレットサンタ
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「……………」
信長様は何も言わずに私の前に座った。
(ううっ、みんなも今頃これを着てるかな……)
同盟(針子)達を思い浮かべながら羞恥心と戦う。
と言うより、信長様が何も言わない方が気になる!
(やっぱり、呆れてる…?)
不安になって信長様をチラリと見ると、ネックレスの石と同じ色の瞳と視線が合った。
「綺麗だな」
やっと口を開いた信長様は、私の肩に触れてゆっくりと布をなぞった。
「このぷれぜんとは、南蛮渡来か?」
布を持ち上げてそれにキスをすると、信長様は興味と意地悪の混ざった質問をした。
「っ、布はそうですがそれ以外は違います。時代は超えて来ましたが、この日ノ本で作られた物です。」
「そうか。まるでビードロの様だな。立って見せよ」
私の腕を優しく掴み立ち上がらせようとするけど、
「だめっ!それは出来ませんっ!」
私は思いっきりそれを拒んだ。
だって、今の私の姿を説明すると、純白のシースルー、そう、シアーを通り越してシースルーのシルクオーガンジーで作ったベビードールを着て褥の上に座っている状態で、しかも着ているのは上だけ!
長めに作ったけど上だけっ!
色気のない言い方になるけど、下はノーパン!ノーパンなんですっ!だってこの時代にはパンツがないからっ!
そして体の首という名のつく部位全てにリボンを結んでいるんですっ!
勇気という名の魔法がなければ無理だった事、お分かりいただけただろうか?
「何だ、自分でしておいて恥じらうのか?」
信長様は恥ずかしがる私を見て声を出して笑う。
「っ、こんな事をするのは信長様にだけです。それに、最初で最後ですから、もう絶対しないですから…、っ、あまり見ないでください。もう、恥ずかしくて……」
(顔から火を吹いて死にそう………!)
両手で顔を覆って恥ずかしさを伝えると、大きな手がそれをやんわりと剥がし取った。