第30章 シークレットサンタ
「貴様を離さぬし誰にも渡さん。これはその証で、俺からの”くりすますぷれぜんと”だ」
愛の囁きと共に優しい口づけが唇に落ちる。
「ん…」
嬉しくて泣きそうと言う感情は、信長様から教えてもらった。
こんなにも素敵な気持ちが込められたプレゼントを貰えるなんて思ってなかったから、感動の震えが止まらないまま私は口づけを受け止める。
私の唇を信長様の舌先が優しくなぞり、口を開けろと突っ突く。
僅かに口を開けば舌がすかさず入り込み私の呼吸を奪って行く。
「ん……」
首筋を長い指がなぞる様に滑り落ちて、私の夜着の紐に手をかけた。
「っ、信長様、私のプレゼントがまだ…」
このまま押し倒されたら明日の朝を迎えることになってしまいそうで、私は唇を離してプレゼント交換の続きをお願いした。
「明日で構わん」
オンモードになってしまった信長様は一瞬私をチラリと見たけど、紐を解く手を止めずに進めて行く。
「っん、 っダメ、待って信長様、今じゃないと魔法が……」
なんとか止めてもらうべく口から出て来た言葉は”魔法”。
「魔法?貴様…蛙憑以外にもまだあったのか?」
そしてその言葉作戦は成功したらしく、信長様は手を止め訝しげに私を見た。
「私の用意した物は明日の朝では出せません。今じゃないと無理なんです」
そう、本当に”感動”と言う魔法にかけられた今の勢いに乗らないと、私のプレゼントはとても出しづらい物である事は確かで…
「……分かった。貴様のぷれぜんとを先に見ることにする」
信長様は渋々納得すると、私の夜着から手を離してくれた。
「ありがとうございます。あの、用意があるので、私が呼んだら寝所に来てもらえますか?」
「何だ、得意の焦らし作戦か?」
「もう、意地悪言うの禁止です。用意出来次第すぐにお声がけしますから、少しだけお待ちください」
「分かったが、そんなには待てんぞ」
「 っ、分かってます」
本当にあまり待ってくれる気はなさそうな顔をした信長様の膝から立ち上がり、少しはだけだ夜着を簡単に整えると、私はそそくさと寝所へと入った。