第30章 シークレットサンタ
〜そして迎えた当日〜
私と信長様、そして武将達とお寺の住職である良心さん(久しぶりの登場)で、夜も明けきらないうちから、お寺にある大きなもみの木の下に沢山のプレゼントを置いて、子供達を迎え入れる準備をした。
「私、政宗の手伝いに行ってきます」
政宗はお寺の台所を借りて子供達へのウェルカムドリンクならぬお汁粉を作り中。
「政宗お待たせ。私も手伝うよ」
「おう、向こうはどうだった?」
「うん、すごい素敵な事になってるよ。みんなのおかげだね。ほんとありがとう」
プレゼントは、本当に沢山の人からの善意で素敵なものが用意出来て、安土中の子供達が来ても大丈夫な数は確保できた。
「それにしても安土中の子供達に贈り物をなんて、お前の考えにはいつも驚かされる」
お汁粉が焦げないようにくるくると大きな木ベラで混ぜながら、政宗はそう言って笑った。
「私の考えじゃないよ。私の故郷ではこう言ったことが結構されててそれの受け売り」
そしてその頃の私はそれを凄いなと思いながらも何のアクションも起こさなかった。
「だがお前が声を上げなければ実現されてないわけだろ?いいと思うぜ」
「っ、…ありがとう」
いつになく政宗が褒めてくれるから、ついじーっと、政宗を見つめてしまった。
「何だ、口づけでも待ってるのか?」
隻眼のイケメンはイタズラに、でも色気のある笑みを浮かべる。
「 っ、政宗の冗談って心臓に悪いよね」
これ、政宗が好きな子だったら心臓飛び出て倒れちゃうよ。
「俺は冗談は言わない。据え膳食わぬはって言うだろ?」
またそんな笑顔…
「もう、据えられてません。政宗と付き合う子はきっと大変だね。いつも他の女性に嫉妬してなきゃいけないじゃん」
「そうかもな」
ふっと笑う顔もやっぱりカッコいい。
政宗もそうだけど安土にいる武将達は、みな若くして一国を束ねているだけあって、自信と男気に溢れていて魅力的だ。