第30章 シークレットサンタ
「なるほど、良い案だな。声を掛ける当てはあるのか?」
「はい。先ずは針子仲間やお城の人達に声を掛けるつもりです。針子たちと協力して、使わなくなった布でお手玉や小物を作る事も考えてます」
「ならば、俺も可能な限り声を掛け寄付を集うとしよう。商人たちに声をかければ茶器や南蛮品なども手に入るやもしれん」
意気揚々と信長様は言ってくれたけれど……
「ちょっと待って下さい信長様、子供達に茶器や南蛮品をあげても喜びません」
これだからセレブは困る!
そんな高価な物、皆んな恐縮しちゃうし、使い方も分からないよ。
「ならば子供は何を喜ぶのだ」
本当に分からないと言った顔が可愛いくて笑ってしまう。
「ふふっ、簡単です。美味しいお菓子と玩具があれば子供は喜ぶんです」
茶器だの高価な南蛮品などは、大人にならないとその価値は分からない(私には茶器の良さは今だにわからないし…)
「そんな物で良いのか?俺は子供の頃からそんな物で喜んだことは無い」
「えーーっ!」
育ちが違いすぎて話も噛み合わない……!
「まぁいい、貴様の好きなようにやってみよ。武将達には俺から声をかけて城下にも広めるように伝えておく」
「本当ですかっ!ありがとうございますっ!」
多少の考え方の違いはあったけれど、お願いを聞いてもらえることになり嬉しくて、ガバッと信長様に抱きついて喜びを伝えた。
「あと、その恋人同士のくりすますも同時進行せよ」
抱きしめ返してくれた信長様の口からは、そんな言葉が飛び出した。
「……え?」
「くりすますとやらは、恋仲の者同士がぷれぜんと交換をするのだと先ほど言ったではないか」
「はい。そうですけど……」
「伴天連では無いが、その行事には乗ってやる。俺は貴様に、貴様は俺にぷれぜんとを用意して交換する。分かったな」
「はい……って、ええっ!いいんですかっ!」
「貴様からの”くりすますぷれぜんと”、楽しみだな」
チュッと唇を掠めるだけのキスがされ、信長様は嬉しそうに笑った。
「わ、私も楽しみですっ!」
(この時代でもクリスマスを二人で祝えるなんて幸せすぎるっ!)
きゃあっ!と再び信長様に抱きつくとそれに応えるように濃厚な口づけをされ、そのまま絨毯に押し倒され熱い夜を過ごした。