第4章 カエルの正体
「足を怪我しておるな」
落ち着かずバタつかせる私の足を見て、信長様は目を細めた。
「あ、これは草履で擦れてしまってって…わぁっ!」
体はさらに浮いて、信長様の馬の上へと乗せられた。
「あ、あの……」
(次から次へと何なんだ一体!?)
「見せてみろ」
「へっ?えっ、えっ、信長様っ!?」
慌てる私に構わず信長様は草履を脱がせた。
「500年も先の未来から来たくせに、草履も満足に履けんのか?」
心配していると言うよりは、やはり呆れている。
「だっ、だって私の時代では草履を履くことなんて一年に一度の夏祭りの時にあるかないかくらいで、それに、ひゃあっ……っ!」
人が喋ってるのに、信長様は掴んでいた足の甲に唇を寄せた。
「な、な、な……!」
パクパクと、あまりの事に声が途切れて出ない。
ザワッと、秀吉さん含む周りの人達のざわめきも聞こえてくる。
(これは一体、どう言うシチュエーション?)
今私は馬の上に横乗りに座っていて、そして片足を信長様に掴まれ、更にその足の甲にキスされて……
完全にキャパオーバーだ。
足の甲から唇を離す信長様を放心状態で見つめていると、目が合った。
「……っ」
「ふっ、蛙の足は鳥肉の様に柔らかで美味だと聞いていたが本当だな」
オレ様な笑いを私に向けると、馬の鞍を掴んで私の後ろに乗って来た。
「わっ、私の足はカエルじゃあありません!」
「蛙憑き女の足も似た様なものだ。中々な柔らかさであったぞ」
「そー言う事されるとカエルが出て来て嫌いになりますよ?そしたら賭けは私の勝ちですからね」
(この人の言動は何だか心臓に悪い)
「カエルは出ぬ」
体を密着させてクックックッと笑われても、もう緊張しかない。