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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第28章 勝利のキス



「そうか、君も中々苦労してるんだな」

「そうなの。なんかバレないように二人に眠り薬とか仕込めないかなぁと思って……」
(証拠が残ると打首になってしまうから……)

何の気なしにそう言うと、佐助君が一歩私から離れた。

「どうしたの?」

「……驚いた。伽耶さん、いつから君はそんな悪い顔をするようになったんだ?」

「えっ!そんな顔してるっ!?」


「うそうそっ、君の口から薬を盛るなんて発想が出て来て驚いたのは本当だけど」

慌てる私を見て佐助君はクスリと笑った。

「うっ、……私、知らない内に闇落ちしてるのかも………」

(秀吉さんに続いて佐助君にも悪徳フェイスを指摘されるなんて…)

「まぁ、君の気持ちも分かる。俺も謙信様の酒樽に何度眠り薬を入れて大人しくさせようと思った事か……」

「えっ、佐助君でもそんなこと思うのっ!?」

「ああ、朝まで飲みに付き合わされた挙句、斬りかかられた時は特にね」

「それは…そうなるよね……」
(謙信様って方も相当な人なんだな……)


「君のお望みの眠り薬は持ってないからあげることは出来ないけど、代わりにこれをあげるよ」

佐助君はそう言って懐から何か取り出した。


「ん?」

手を出すと、手の平の上にそれをポンと置いてくれた。

「これ何?」

テニスボールよりは小さい丸いもの。

「これは煙玉と言って、忍者の必需品だ」

「煙玉って、投げるとモクモクお煙が出て来るやつ?」

「そう。もし信長様が負けた時にはこれを投げて逃げるってのも一つの手だと思う」

「なるほど!」
(これなら、隠れて投げれば誰が投げたのかバレなさそう!)

「ありがとう佐助君。もしもの時はこれで何とか逃げ切ってみる」

「ああ、うまく行くことを願ってる」


(きゃー、これで何とかなるかもっ!やったーっ!)

と、この時の私の心は大はしゃぎで、


「あ、間違って威力倍増の方を渡してしまった……!」

佐助君がそんな言葉を呟いていたなんてことは、全くもって気がつかなかった。




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