第1章 不幸な出来事は続く?
「きゃあっ!!」
「君っ!」
メガネの人が私に向かって何か言いかけた時、
「えっ……!?」
視界が大きくぐにゃりと歪んで、暗闇に呑み込まれた。
………深い海の底に沈められているような感覚からやっと解放され目を開けた。
「……っ、」
景色は一変、私がいるのは炎の中!
「ここ…どこ?」
真っ赤な炎に照らされているのは、畳の大きな部屋…
「なんでこんな部屋の中に…?」
パチパチと木の燃える音が危険だと告げているのに、急な状況に頭も体も動かない。
「一体、どうなって…」
ベキベキべッと聲音を響かせながら、自分の後ろで天井の梁が燃え落ちた。
「……っ、とにかく逃げなきゃ」
今ので危機を察知して、ようやく体が動いた。
「………ぅ」
外に体を向けた途端、部屋の奥から呻き声が聞こえて来た。
(誰かいる?)
振り返れば人がうずくまっていて、その後ろには誰かが何かを構えて目の前の人を狙っているみたいだ。
(煙でよく見えないけど、刀っぽいな…!)
「えっ、刀っ!本物っ!?」
思わずそう叫ぶと、刀を構えていた男はそのまま部屋から逃げて行った。
「……っ、あの、大丈夫ですかっ?」
「っ、誰だ貴様は」
駆け寄ったその男性は着物に鎧姿とかなり変わっていたけど、今は考えてる余裕など全くない。(またさっきの男が戻ってくるかもしれないし…)
「怪しい者ではありません。今は緊急事態なので私に捕まって下さい。逃げますよ!」
まだ意識がハッキリしていないその男性の片腕を摘み自分の肩にかけた。
(っ、重い。鎧なんか着てるから…)
ズシっとかなりな重さを肩に感じながらも、私はとにかく無我夢中で建物から脱出をした。