第28章 勝利のキス
「よし、作戦開始だっ!」
腕まくりをして気合を入れて廊下を進む。
秀吉さんは優しいから、多分頼み込めば「分かった」と言って参加しないでくれると思う。その秀吉さんが参加しないとなると、部下である三成君もきっと参加しないはずだし、万が一にも出るなんて言ったら、にんじん食べさせるよって言って脅しちゃうんだから。イシシ…(←鬼畜)
家康は勝っても楓へのキスと決まっているから安全パイだ。
となると、キーマンとなるのは政宗と光秀さん。
この二人を何とかするのはかなり至難の業だとは思うけど、そんなことは言ってられない!行動あるのみ!
「政宗、手伝うよ」
先ずは、何と言っても発案者である政宗から。
夕餉の支度の時間を見計らって厨を訪れた。
「伽耶か。いいとこに来た。こいつの味見をしてくれ」
「わぁっ!かぼちゃの煮物っ!大好物っ!」
小皿に取り分けられたかぼちゃの煮物を受け取りすぐさま口の中へ。
「んーーー、美味しいっ!政宗天才っ!」
しっかり味が染みてほっくり仕上がってる。
「上手くできてるみたいだな。お前の評価が一番信用できるからな」
政宗はそう言ってニッと笑った。
(本当、カッコいいんだよね。こんな顔でこんな手料理出されてグッと来ない女子なんていないだろうな……って、いけないいけないっ!)
イケメンと美味しい料理にもってかれそうになっている自分を何とか引き留めて話を本題へと戻す。
「政宗ってお酒飲めないのに、料理酒は大丈夫なの?このかぼちゃの煮物にだって使うでしょ?」
「料理は火にかければ酒が飛ぶからな。問題はない」
「そうなんだ。でも、火にかけずにそのまま使ったらダメって事だよね?」
「まぁな。まぁそんな料理はまずないだろう」
「そうだよね」
ふふふ…政宗は知らないと思うけど、甘酒を使えば火を通さなくていいレシピは沢山あるのだ。
(よしよし。これなら気を抜いてる所を飲ませれば一発KOよね!)
政宗への策が決まった私は、夕餉の準備を手伝って厨を後にした。