第28章 勝利のキス
〜次の日〜
「伽耶っ!今度のお祭りで政宗様や秀吉様たち武将と口づけするって本当っ!?」
楓が息を巻いて針子部屋へとやって来た。
「楓ちょっと待って、その情報色々と間違ってるから」
既にここにいる針子たちからその件で尋問を受けた私は、楓の腕を引っぱって座ってもらい、本当の事をしっかり説明した。(信長様だけじゃなく他の武将達にも手ぇ出そうなんてどう言うつもり?と針子達からは迫られた)
・・・・・
「なーんだ、そういう事かぁ」
「そう。だから困ってるの。楓だって私が家康に口づけするなんて考えられないでしょ?」
私だったら、他の女性が信長様に口づけるなんて考えられないもの。
「あ、それは大丈夫。もしも家康が勝った時は、伽耶じゃなくて私にするねって言ってくれたから。ふふっ」
「はいはい。いーなぁ家康は優しくて冷静で…」
(しかも、話ちゃんと聞いてんじゃん!)
「でも伽耶はそんな信長様が好きなんでしょ?」
「うっ、痛いところを……でもそうなんだよね」
オレ様で、オレ様で、本当にオレ様だけど、見た目がいいとか、城の主人だとか、そんなスペックで信長様はふんぞり返ってるわけじゃなくて、今まで信長様がご自身で築かれた自信の上に成り立っている本当の強さだから。だから私はそんな信長様の強さにとても惹かれてしまうんだ。(まぁ、あの顔も本当は好きだけど…悔しいからあまり言わないけど…)
「でも今回ばかりは不安だよ。花火に細工することもできないし…………ん!」
(待てよ。花火にはできないけど、人には出来るんじゃ……っ!?)
「なんか、良いこと考えたかも……!」
そうだよ!花火に細工ができないなら、武将達に根回しして大会に出られなくしちゃえば良いんだ!
手筒花火は男性ならきっと誰でも出来るだろうし、賭けなんかなくても十分に盛り上がるもの!
「楓ありがとう。良い案が浮かんだから、ちゃっちゃっと仕事終わらせちゃうね」
「そう?なら良かったけど……」
不安そうな顔の楓をよそに、私はとても良いことを思いついたと思い、仕事を早急に終わらせその案の実行へと移ることにした。