第28章 勝利のキス
「あー、コホン。伽耶 も困ってるし、そろそろ会議に戻りましょう」
(ナイス、秀吉さんっ!)
秀吉さんのありがたい言葉で意見交換が再び始まり、皆の意識もそこへ向かった。
花火をどう面白くするのか?
「一発ずつ打つのではなく、一気に全部打ち上げてはどうでしょうか?」
「阿呆、それでは大爆発が起きかねんし、人手が足らん」
意見その一は却下。
「では、一箇所で打ち上げるのではなく、あらゆる箇所から打ち上げるのはいかがでしょうか?」
「悪くはないが、やはり人手が足りぬし、管理が手薄になると大火事になりかねん。却下だ」
意見そのニも却下。
「打ち上がり弾ける花火と共に甘味が飛び出して来るってのはどうだ?」
「政宗…悪くはないが甘味は黒コゲであろうな」
意見その三、却下。
「じゃあ、甘味ではなく武器が飛び出すというのはどうでしょうか?」
「三成、貴様は民を殺す気か」
同じく却下。
「じゃあ、花火を手で持って打ち上げるというのはどうでしょうか?」
家康から出た意見に、(ん?手で持つ?どう言う意味?)と、皆?となった中、
「ほぉ、家康、詳しく聞かせよ」
信長様は一人口角を上げて興味を示した。
「俺の生まれた三河の伝統花火をご存知ですよね」
「手筒か……」
「はい。あれを花火の開幕、もしくは大トリとして登場させてはどうでしょう?」
「………悪くない」
信長様は顎に手を置いて何かを考え出す。
「ねぇ家康、手筒って、どんな花火なの?」
聞いた事があるような気がするけど、見たことのない私は家康に尋ねた。
「手筒花火は3尺ほどの竹筒に火薬を詰めて、それを人が抱き抱えて火花を散らせる花火の事だよ」
「えっ、人が抱えて花火を打ち上げるのっ!?」
(かなり危険じゃないっ!?)
「手筒花火は詳しく言うと打ち上げ花火じゃなくて筒から吹き出す花火なんだ」
「そうなんだ」
「ただ三十尺ほど吹き上がるから花火の持ち手は滝のように流れる火の粉を全身に浴びる事になる。それがこの花火の醍醐味なんだ」