第27章 知らぬが仏
「……ん、でも、僅かな光を頼りに愛する人を探すなんてホタルは大変ですね。私だったら探し出せるかな……」
信長様を狙う沢山の女性たちを掻き分けて辿り着けるかしら……(ハードルは高そうだ)
「ホタルの雌は動かん。飛んでいるのは雄で、雌は探し出されるのを葉の上でじっと光を放ちながら待つ」
「良かった。じゃあ私は信長様が探し出してくれるのを待てばいいんですね」
「ふっ、貴様はじっとしておらんからな、見つけ出すのは大変そうだな」
「もう…そういう時はちゃんとじっとしてます!」
「説得力に欠けるな……」
ふっと笑った信長様は私を抱き上げて褥へと移動する。ホタル鑑賞は終了らしい。
褥の上に横たえられると寝間着の紐が解かれて、素肌が夜風に晒された。
「んっ………」
意地悪な事を言う私の恋人は、その言葉とは裏腹に優しく私に触れて行く。
「ぁっ、………ん、信長様…ホタルが部屋にも……」
光を放ちながら、数匹のホタルが部屋を飛んでいる。
「短い命だ好きにさせてやれ。それよりも俺に集中しろ」
「んぅ………っ」
絡め取られた手が褥に沈められ、唇が深く重なって行く。
恋なんてもうしないし、できないって思ってた。
でも信長様に出会い恋に落ちて、こんなにも誰かを愛せるのかってほどに好きになって……
「っ、信長様……」
「…っ、はっ、伽耶……っ」
信長様に愛される喜びも知ってしまったから、
こんな気持ち、知らなければ良かったなんて思う日はどうか来ませんように。
「…………好き」
信長様の事を、ずっとずっと愛し続けて行けますように……