第25章 余裕な彼
〜そして次の日〜
朝、遊女屋の前の路地に織田軍は集まり、帰り支度を始めていた。
昨夜はお店のお酒が無くなるほどに飲んで騒いだと聞いているけど、誰一人として疲れを顔に出さず、キビキビと動いている。
私はと言うと、
「うう…みんな化け物だわ」
お店の軒下の長椅子に座って腰をさすっている状態……
「どうした?辛そうだな」
体力怪物並みの私の彼氏は、肌をツヤツヤさせご機嫌に私の元へとやって来た。
「っ、誰のせいだと……」
腰をさすりながら、私は愛しい人をじとっと恨めしげに見る。
「あれぐらいせねば貴様は反省せんだろう?」
「あんなにされなくてもちゃんと反省できますっ!」
口には出せないけど、まだ信長様がお腹の中にいる感覚が消えてないんだからっ!
「これに懲りたら二度といなくなるな。次はあれくらいでは済まさんっ!」
腰はズキズキ、股はモゾモゾとする私に信長様は凄みを利かせて釘を刺す。
「ええっ!あれで手加減したとか言うつもりじゃないですよね?」
「ふっ、俺が貴様を本気で抱いたらあんなもんではない。望むならば安土に戻り次第試してやるが?」
「だっ、大丈夫ですっ!肝に銘じますっ!」
あれでまだ100%じゃないなんて冗談じゃないっ!
「猛獣…」
「何か言ったか?」
「いいえ何も……」
あれ以上のことされたら乱れ狂ってしまう。いや、その前に二度と腰が立たなくなる!
昨夜の激しい情事はきっと一生忘れられないし、あれを上回るほどの情事はごめん被りたい。
(あっ、そう言えば身請け金)
激しい夜に気を取られ、私が遊女屋から買い戻された事をすっかり忘れていた。
「信長様、私の身請け金って……」
昨日女将から借用書を巻き上げ私の目の前で破り捨てたのは見たけど、その細かな内容は知らないから途端に不安になって信長様の袖を引っ張った。
そうでなくても、私にお金を使い過ぎると良くない噂が流れたことは記憶に新しい。