第4章 カエルの正体
「さぁ、おっ買い物〜っ」
行きたい所は大体決まってるから、町の様子を楽しみながらお目当ての店を探すことにした。
・・・・・・・の筈だったのに…
「ヤバい、迷った」
お店や建物に目を取られすぎてて、どこを曲がってどう入って来たのかが完全に分からなくなった。
空を見れば西日が傾き始めてる。危ないから暗くなる前には戻れって言われてたのに…
曲がれば曲がるほど何だか雰囲気が暗く重苦しくなって行く…
「どうしよう…」
秀吉さんに書いてもらった地図の地点までも、もうどうやって戻ればいいのか分からない。それに、慣れない草履が擦れて足も痛い。
途方に暮れてその場にしゃがみ込むと、分かりやすく悪そうな連中が三人、私を見てニヤニヤと近付いてきた。
「っ…….」
(あれ絶対にヤバい!)
慌てて立ち上がり走り出すと、やはり三人は私を追って来た。
「おい、逃すなっ!回り込めっ」
そんな声が背後から迫って来る。
草履擦れの足で、しかも慣れない着物姿で逃げ切れるわけもなく、ほんの数秒で私は三人に壁際へと追い込まれた。
「な、何か用ですか?」
(どうしよう、怖い)
「俺たち暇だからちょっと遊びに付き合ってよ」
ニヤニヤと、気味の悪い笑みと値踏みされる様な視線に、今すぐ逃げなければと頭は警鐘を鳴らす。
「私急ぐので」
男たちをすり抜けようとした時、
「痛っ!」
男の一人が乱暴に私の腕を掴んだ。
「遊ぼうって言ってるだろ?大人しくしてれば命は助けてやる。黙って俺たちについて来い」
ドスの効いた陰気な声に、体の底から恐怖が湧き起こる。
「やっ、離してっ!誰かっ、助けっ………っ!」
一人の男が私の口を手で塞いだため、叫ぶ作戦も失敗に終わり、それと同時にもう一人が私を担ぎ上げた。
「んっ!んんっーー!」
(嫌っ、やられて殺されるっ!)
男三人に女一人なんて抵抗できるわけもなく、男の一人が長屋の扉を開けてここに運べと顔で指図した。
(ウソッ!そんな所に入れられたらもう助からないっ!)
「んーーー!」
(誰か助けてー!!)
死と絶望が頭を掠めたとき…