第25章 余裕な彼
「この女、俺が買う」
「のっ、信長様っ!」
なんてヒーローみたいな登場!
「秀吉、光秀、今宵は好きなだけ騒げ、店を貸し切る」
そして発言まで男らしくてカッコいい!
ブラック女将は歓喜の声を上げ、遊女達もきゃあっ!と喜びの声を上げた。
信長様は宣言通りに連れてきた武将達とその家臣全てを遊女屋で遊ばせる事とし、お店は織田軍の貸し切りとなった。
契約解除云々を済ませ晴れて自由の身となった私は、信長様と広間へ向かった。
「わぁっ!楽しそう」
遊女屋の大広間では、遊女達による雅な催しが繰り広げられている。
(京都での茶屋遊び、一度してみたいって現代にいた時から思ってたんだよね)
未来の京都では一見さんはお断りのお店が多くて入れないし、作法も知らないから敷居が高くて無理で諦めてたけど、それが今目の前に……!
(うーー、ワクワクする〜)
「信長様私たちも……」
「貴様はこっちだ」
「えっ!」
信長様の腕を引っ張ろうとしたはずなのに、逆に私の腕を掴まれ奥にある違う部屋へと連れて行かれた。
「貴様は今宵俺に買われた身。俺一人を楽しませよ」
「っ……んっ!」
部屋に連れ込まれるなり激しいキスで口を塞がれた。
「んっ、…ん、」
大きな手に頭を持たれ体は壁に押さえつけられた状態で、噛み付くようなキスが続く。
「っぁ!…んっ、…んんっ!」
息つく間もなく舌が絡みつき吸われ呼吸が乱れてゆく。
「ふぁ、ん、 っまって……んぅ!」
息苦しさはすぐに訪れ空気を求めようとしても逞しい腕ががっちりと頭を掴んでそれを許さない。
「んっ、……あっ!」
膝の力が抜け崩れると、そのまま信長様の体が被さり組み敷かれた。
「どうした、俺を楽しませろ」
情欲に駆られた目の中に、激しい怒りが見える。
「ふっ、んん……!」
これは…
信長様は怒ってるんだ……!