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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第25章 余裕な彼



「随分と派手派手しく着飾られてますが、あれは伽耶ですね」

光秀は笑いを堪えながら遊女姿の伽耶を見た。

「あいつ…遊女姿も中々いけてるな」

秀吉は率直な意見を述べる。

「秀吉、斬り殺されたいのか?」

「い、いえっ、すみませんっ!けどあいつ…なんか嬉しそうじゃないですか?」

「はっ?」

秀吉にそう言われ伽耶を見れば、

「おいっ!すげぇ綺麗な女だな」
「ある大名の元寵姫だってよ」
「こんな女、中々拝めねぇ」
「天女のようだなぁ」

伽耶の姿を見て口々に褒める男どもの声にまんざらでもなさそうな伽耶の顔……


「あの跳ねっ返りめ……!」

(そう言えば安土の遊女屋でも遊女の姿をして浮かれておったな…)

見ず知らずの男どもに今にも買われるかもしれないと言う危険の中にいるにも関わらず、しかも愛しい男からでは無い褒め言葉を間に受け喜ぶなど言語道断!


愛しい者を見つけ出した安堵感と、他の男の目に晒されている不快感とがないまぜになった感情を胸に、信長は伽耶の元へと近づいて行く。


「せめて髪だけでも触りてぇなぁ」

一人の男がそう言って伽耶の方へ伸ばした腕を信長は掴み取り、男をそのまま地面へと投げた。


「いってぇっ!てめぇ何すんだ………っ!」

男は自分を投げた相手を睨み、そしてすぐさまそれを悔やんだ。

「貴様…、その女が誰のものか分かって触れようとしておるのであろうな!」


「ヒッ!おっ、織田信長様っ!」


京の都で信長を知らぬ者はいない。
男は一目散で逃げて行き、店に群がる客達も信長から距離を取った。


「信長様っ!」

愛しい女はようやく助けに来た恋仲の存在に気づき声を弾ませた。


「女将を呼べっ!この女、俺が買う」


遊女屋街に、低くて逞しい声が響き渡った。





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