第25章 余裕な彼
「あっ、あれは戦になるかもって不安で声が出ただけで…」
さらに一歩後ろに退くと、壁にぶつかった。
「ほぅ、先程のあれは不安の声と申すか……?」
綺麗な顔はさらに口角を持ち上げ愉快な笑みを浮かべる。
まさに蛇に睨まれたカエル!
「貴様が漏らした声は不安の声ではなく」
私を追い詰めた信長様は私の片手を取り指を絡ませ壁に押し付けると、もう片方の手を私の着物の裾から内側へと滑り込ませ、生脚を撫でた。
「っん……!」
思わず声が漏れる。
「その声だ」
「っ………!」
(ご明察っ!って、感心してる場合じゃないっ!)
脚を撫でる手は肌の感触を楽しむ様にゆっくりと私のお尻の方へ移動していく。
「っ、………ん」
「そうだ、その声……俺しか聞いてはならんその声を、あらぬ事を思い出して他の者に聞かせるつもりであったか?」
私の耳に唇を寄せ熱い息を吹きかけながら信長様は質問をする。
「やっ、ぁっ、あれは叫び声であって…違いますっ!」
背筋がぞくぞくとして体を捩るけれども、片手は壁に縫い付けられ体は逞しい体と壁に挟まれびくともしない。
「答えよ。あの時何を考えておった?」
「っ、大したことじゃ……ひゃあっ!」
お尻を撫でていた手はお尻の丘を滑り敏感な箇所に触れた。
「っ、本当に…ん、」
「正直に言え、俺とこの様にしている所を思い出しておったのだと..」
「なっ、分かってるならこんな…っあっ!」
つぷっと、長い指の先を体の中に感じた。
「……っ、」
(これ…本気だ……!)
「お、思ってる事が顔に出過ぎって言われて、夜の信長様の顔なら私にも思ってる事が分かるのにって考えたら声が出ちゃっただけですっ!」
これ以上の事をされる前に白状をしようと、早口で事実を伝え終わらせた。
はずなのに…
「あっ、……やっ!」
信長様の指は、動きを止めるどころか更に奥へと探る様に入っていく。