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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第24章 エゴサーチ



「でも佐助君に会うの、あの日以来だね」

「そうだな」

あの日とは、ワームホールで帰る事をやめて信長様の元に残ると決めた日のこと、
お互いの顔を見れば、ここに残った事が正しい選択だったのだと分かる。

「伽耶さんの噂は越後まで届いてるよ」

「え、本当?」

「俺も聞いてるよ。君、とても気持ちよくお金を使うそうだね」

と義元さん。

「ええっ!そんな噂っ!」
(そんな所にまで悪しき噂がっ!)

「ふふっ僕と気が合いそうだね」

「いや、いやいやいやっ、私はいたって庶民ですからっ!お米が食べられなくて困ってる人々を差し置いて散財なんて絶対にしませんっ!」

こんな噂がこれ以上広まったら困ると思い、ぶんぶんぶんっと大きく頭を振った。


「?……米がないなら菓子を食べればいいんじゃない?」

「へっ?」
(聞き間違いかな?なんか凄いこと言った様な…)

「米がないなら菓子を食べればいいんじゃない?って言ったんだよ」

ニコッと笑みを浮かべる顔にはまったく悪気がない。

(本気で言ってるんだ……?)

日本版マリーの様なこの人は、本気でそう思うほどに育ちがいいのだろう。


「お米を食べられないと言うのは、物を食べられないと言いたい時の一つの例えで、それはどの食物も十分に食べる事ができないってことなんです」

言葉の意味を噛み砕いて説明をすると、

「そうなんだ。俺は市井(しせい)の暮らしに少し疎いから」

彼は困った顔で微笑んだ。

「いえ、悪気はないって分かりますから」

私だって、今の自分の暮らしをスタンダードに考えてしまうところがある。今川家は武家の中でも名門中の名門だって聞いた。常に高みを目指す様に言われて育って来た人がそうなっても仕方ないんだ。

「義元さん、そろそろ行きましょう。幸村の我慢の限界が近づいてる気がするので」

「分かった。伽耶、君に会えて良かった。君の仕立てた婚礼衣装も見てみたかったな」

「はい。きっといつか、敵味方とか国境とか、そう言うものが関係なく互いに行き来できる日が来ると思います。その時にまた、私の仕立てた着物をぜひ見てください」

信長様の目指す世の中はそう言う世の中で、その為に私の大好きな人は日々頑張っている。



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