第24章 エゴサーチ
「何か用事があるのか?待っていてやる。終わらせて来い」
「え、良いんですか…?」
なんて優しいの…って、だからそれじゃあダメなんだってばっ!
「いえっ、大丈夫ですっ!信長様の貴重なお時間を無駄にするわけには行きませんっ!」
誘惑に負けてはいけないと、私は手を外に向けてお先にどうぞと伝えた。
「ふっ、遠慮はするな。貴様との時間は無駄ではない。むしろ俺にとって大切な癒しの時間だ」
どこまでも優しい信長様は繋いだ手を自身の唇へ持って行き、チュッと音を立てて私の指に口づけた。
「………っ、本当に?」
じゃなーーい!
ダメだ!信長様の優しくも甘い言葉に心は素直に反応してしまう。
(だって少しでも長く一緒にいたいんだもんっ!)
でも……
「如何した?」
指先への愛撫は軽い口づけから啄むような口づけへと変わり、私の熱を煽って来る。
「………っ、だから…」
(無駄に色っぽくてエロくてカッコいいこの彼氏を誰か何とかしてーーーっ!)
「き、急用がたくさんあるので一緒にはいけませんっ!では私はこれで、お疲れ様ですっ!」
熱のこもった紅の目に射抜かれる前に、私は繋いだ手を振り払って逃げ出した。
(わーん、信長様ごめんなさいっ!
本当は一緒にお出かけしたかったに、お汁粉食べたかったのに、うえーん!)
心の中は後悔の嵐が吹き荒れていたけど、これ以上信長様が私のために散財していると噂されるのは避けなくてはいけないっ!
急用なんて全くない私は心の中で泣き叫びながら城下町までとにかく走った。
一方の信長様はと言うと…
「また何か…拗らせておるようだな…。まったくもって飽きん奴だ」
楽しそうに口角を上げながらそう呟き、私の後を追うように城下町へと向かったなんて事を私はもちろん知らない。