第24章 エゴサーチ
「まぁ伽耶と信長様の夜がそんなに淫らで激しいとは知らなかったけどね〜」
「なっ!違うよっ!あれば楓を助けるために行っただけで何も!私たちは至って普通だよっ!」
(意地悪だし、かなり恥ずかしい事はさせられてる自覚はあるけど…)
「嘘うそ、冗談だよ!でもそれだけ伽耶と信長様の事はみんな知りたいって事だよ。同じ針子部屋で働いてるって言うと羨ましがられる位にはね」
「うん。そう言ってくれてありがとう」
厨の人達も針子仲間も皆優しい。
「なんか元気出た。反物の仕入れがあるから城下町に行ってくるね。ありがとう」
「城下で何言われても気にしなさんな!」
「頑張るっ!」
ガッツポーズを決めて針子部屋を出た。
(うん、気にしない気にしない)
気を取り直して行こうとした時、
「伽耶っ!」
背後から私を呼び止める声。
「信長様?」
確信を持って振り返れば、
「出かけるのか?」
大好きな人の笑顔。
「はい。城下へ買い出しに」
「ちょうどいい。俺も今から出る。一緒に来い」
私の手を自然に取って信長様は廊下をそのまま進んで行く。
「信長様の手、温かいですね」
寒さのこたえる今の季節、大きな手に包まれると手も心も温まって行く。
「貴様の手は冷えすぎだ。城下で何か温まるものを食べさせてやる」
「えー嬉しいっ!ちょうどお汁粉が食べたいなって思って………」
ハッ!
(いや、私何言ってんのっ!そんなのダメだよ!)
「あ、やっぱり私…もう少し後で出かけるので、信長様は先に行って下さい」
今から仕事で城下へ行くのに逢瀬みたいになるのは職務怠慢な気がして、繋いだ手を引っ張って信長様に伝えた。