第24章 エゴサーチ
「まぁそうですね……強いて言うならこの間伽耶様の好きな甘味や水菓子をお皿一杯に盛り付けろと言われた時には急なことで買い出しに行かなければいけなくて一手間ではありましたが…」
あ、あの時のフルーツ盛りっ!
「ご、ごめんなさいっ!」
そうだよね、質素倹約がモットーのこの厨で予定外の食料はあまり置いてない(金平糖と政宗の持ち込みは別)
「いえ、強いて言えばってだけで、献立が急に変わることも、突然宴会になることもよくあることですから。本当に気にしないでください。伽耶様のためならそれ位お安いご用です。伽耶様がいらしてから本当に仕事が捗る様になりましたから…」
ニコッと厨番は笑顔を見せてくれた。
「っ、ありがとうございます」
ダメ出しどころか勇気づけられてしまった。
でも私が機嫌を悪くすることで信長様以外の人に迷惑がかかる事が分かったから、これからは気をつけよう。
次は一日の大半を過ごす針子部屋へ。
「うーーん、伽耶の事で困ること?別に何もないよ?仕事も丁寧だし誰よりも一生懸命働いてるし……、助かってるよ?」
ここでもまた優しい言葉が……
「うう…ありがとう」
「どうしたの急に?」
「あ、えっと…信長様のお相手として相応しくない行動は慎もうって思って……?」
「なにそれっ、相応しくないどころか伽耶しか信長様のお相手はいないって、この城の者はみんな思ってるよ!」
「………っ」
(もう、なんて嬉しい言葉を…)
自然と緩んでしまう顔を慌てて元に戻して平静を装った。
「もしかして…城下で噂になってる事を気にしてる?」
針子仲間の指摘に、
「あ、やっぱり聞いてるんだその噂……?」
噂は結構広まっているのだと分かる。
「そうだね…でも、気にしない方がいいよ。城下の者は皆噂好きだから、すぐに違う噂に飛びつくって」
「うん。でもやっぱり気になっちゃって…」