第24章 エゴサーチ
「あんたが針仕事で稼いだお金をほとんどあの寺の子供達のために寄付してるって事は一部の人しか知らない。しかもそう言った良い話は中々伝わりにくい。民衆は悪い噂ほど好む傾向にあるから…」
「うん、噂ってそう言うものだよね……」
「だけどあんたと付き合うようになって信長様もかなり変わったし穏やかになって親しみやすくなったって事は皆んな感謝してるんだと思う。今回のはたまたまだと思うからあまり気にしない方がいいよ。それに楓の事は俺も感謝してるし」
「うん。ありがとう。人の噂も七十五日って言うし気にしてないから心配しないで!」
「本当に……?」
「うん!本当に。全然気にしてないよっ!だから家康も気にしないで!ねっ!」
「あんたがそう言うなら良いけど…本当に大丈夫?」
綺麗な翡翠色の瞳が私の嘘を暴こうと覗き込む。
「ぜんっぜん大丈夫!あっ、私反物の買い出しがあるから行かなくちゃ!」
「お茶入れに行くんじゃなかったの?」
うっ、なんて冷静で鋭いツッコミ!
「あっ、そうだ、そうだった!家康も飲んで行くでしょ?楓とお部屋で待っててくれる?」
(元々は二人にお茶を出そうと思って部屋から出て来たんだし)
「いや、確認したい事は済んだから俺はもう行くよ。楓と二人でゆっくり飲んで。じゃあ…」
軽く手を上げて家康は去って行く。
私はその背中が廊下の角を曲がるまでじーーーっと見つめ続け、すっとその姿が見えなくなった途端に深くうなだれた。
「…………………って、めっちゃ気になるよ————————!!!」
気にならないわけがないっ!と言うよりもうそのことしか頭の中にはない!
ヤバい、気を抜き過ぎてた!
信長様があまりにも普通に接してくれているから忘れがちだけど、私の彼はとてもすごい人だって事を忘れてたっ!
「お姫様なのに針仕事やお城の仕事をこなして偉いですね」
なんて言葉を言われていい気になっていたんだ…
実のところは浪費家の姫って思われてたんだろうか……?
もしかしてもしかしてだけど、
私って…評判悪いの……っ!?