第24章 エゴサーチ
「だからそこが問題なんだ……!」
「えっ……!」
家康の話では、あの日、遊女屋の前での信長様と私のやり取りを見ていた民衆達は、信長様と私が淫らな遊びに興じていると思い、そこでまず一つ目の無駄遣いをしていると皆の不況を買ったらしい。
「なるほど……そうなるんだ……」
(皆んなには、面白おかしい話では済まなかったって事だ…って、当たり前だよね……)
「まぁ姫という立場にいる者が遊女屋に行く事自体がかなり珍しい…いや、ほぼないと言っても過言じゃないからね」
「そうだよね……色狂いで無駄遣いな姫だって思われてるよね…」
この時代の武家の姫は本当に慎ましやかであまり城の外に出ることなどない。楓と日々を過ごすようになった今ではもっとそれが理解出来る。
織田家縁の姫と世間では一応なっている私が針子をしてそれを納めに店へ出向いて帰り道で買い食いしてなんてのもとてもレアケースだ。
「そして遊女屋での遊びに興じた挙げ句、あんたの望みで楓をあんたの侍女としてその日に身請けしたから、あんたの為にまた大金を使ったって町では噂になっだってこと」
「そうなんだ……」
事実はどうあれ、内容的には間違ってはいないし、あの日の私達のことをそう捉えられても仕方がない。それに楓を助けたかったのは本当だし、今でも家康と楓の二人を見てると本当に良かったって思ってる。
けど、
「”また”って事は、その前から言われてたって事だよね?」
今回の一件だけなら、”また”なんていうふうには言われない。
「まぁね、ほらあんた前にも寺の子供達と祭りをしたでしょ?」
「それもっ!」
(って言うかそんな前からっ!?)
てっきり付き合い初めの頃にたくさんのものを買ってもらった時くらいからだと思ったから、またまた驚きだ!