第24章 エゴサーチ
「色々って………?」
最初に浮かんだのは、複数での情事を好んでいると言われているのかな?と言う事。
(まぁ、あんな公衆の面前で言われてしまった訳だし、仕方がないのかも……)
なーんて思っていたけど、
「あんたと恋仲になってから、信長様の金遣いが更に荒くなったって……」
帰って来た言葉は予想外のもので、
「え……?」
私のせいで信長様が悪く言われてると言うもの…
(それ絶対あっちゃダメな噂じゃん!)
予想外の言葉に驚く私に構わず家康は言葉を続ける。
「信長様にはいい噂もあれば悪い噂もあるって事はあんたも知ってるよね?」
「……うん」
そしてそのほとんどの噂がまだ悪い噂だってことも知ってる。
「この城もそうだけど、信長様は珍しい物、特に南蛮の品や茶器が好きで戦好きだと言うのが織田の領地に住む民衆の信長様像。つまりは浪費家だと思っている人が少なく無いんだ」
「そうなんだ………」
確かに信長様は使う時は豪快に使う方だけど…、自分のためというよりは経済を回すためとか、家臣を労うためとかに使われるのに…
「本当の所を分かってもらえないのは悔しいね」
その使うお金さえない人々からすれば良く思われないのは理解できるからこそこう言った誤解が生じるのは辛い。
「あんたの今の言葉だけであの人は喜ぶからいいんじゃない?それにあんたも知ってると思うけど、あの人は噂なんかは気にしない人だから…」
そう言ってクスッと笑う家康はこんな時まで優しい。
「ありがとう。でも楓の身請けのことは人助けだし良い噂にはならなかったの?」
どちらかと言えば美談になりそうなものなのに…
「反対だよ。今川の高貴な家柄の姫だから大金で買ったって、税金を無駄遣いしてるって噂になってる」
「そんな……!それにあれは私のお願いした事なのに…」