第4章 カエルの正体
「世話役って言うから、会社の世話役みたいに偉い人に任命されちゃったかもと思ったけど、文字通りの世話役なんだな。って言うか配達係みたいなもの?」
城内にある武将たちの部屋や御殿に、書簡や文を届けるのが私の世話役としての仕事らしい。
渡された書簡類と地図を手に、私はここに来て初めてお城の外へ出た。
「わぁっ!ドラマのセットみたい……っ!」
お城の中も時代劇のセットみたいだけど、お城は私の時代にも現存していて復元されたお部屋とかも見たことあるから自分のイメージとあまり違わず驚かなかった。でも、外の世界は完全に異世界だ。
「道幅も広いし、建物もしっかりしてる」
テレビで遺跡などを見ていても思うけど、私にはこんな建物を建てることはできない。
「道路は…土の道なんだ。物も豊富だし賑わってて…ちょっとアジアのマーケットみたいで楽しそう」
秀吉さんにもらったお小遣い。使わず返そうと思ってたけど、こんなの見ると使いたくなって来ちゃったな。それに、未来に帰る時にお土産として持ち帰りたい。
「先に用事を済ませてゆっくりお買い物しよう」
秀吉さんの書いてくれた地図のおかげで迷う事なく石田三成邸、徳川家康邸へと届け物を済ませた。
「…えっと、二人のことは今度から三成君に家康って呼んで良いんだよね」
世話役の任務を2件済ませた私は、二人の呼び名の確認をする。
三成君は本当に武将なのかなぁって位に爽やかイケメンだ(寝ぐせは気になったけど)。
しかも、
「伽耶様、本能寺でお約束した元の世界に帰る方法ですが、今様々な書物を読んでその方法を探しておりますので待ってて下さいね」
ニコッって、惚れてまうやろがーい!って位、あの夜の約束を反故にせず覚えててくれて嬉しかった。(大広間で叫んだからかもしれないけど…)
でも佐助君に会って元の時代に戻れることが分かったから、
「あ、そのことなら帰る方法が分かったからもう大丈夫なの。心配してもらってごめんね」
と丁重にお断りをした。
「そうですか。それは良かったです。どのような方法なのか、また今度詳しく教えてください」
ニコッキラッと、目を輝かせて聞かれたから、もっと詳しくワームホールの事佐助君に教えてもらって伝えようと思った。