第4章 カエルの正体
バリっと葉を一枚、また一枚と剥いていると、手に柔らかな感触が…
(グニャってなんだろう?)
キャベツを剝く自分の手に視線を落とすと、
「やっ、虫っ!きゃあーーーーーーーっ!!」
葉っぱの間に芋虫が…
「おいどうした」
政宗も手を止めて私に声をかける。
「虫っ、このキャベツ虫がいるっ!」
投げ捨てるようにキャベツを台に戻した。
「そんなの当たり前だろ。何虫でびびってんだ」
「当たり前なの!?どうしよう、無理〜」
一人暮らし+たまに大地だった私はカット野菜とかコンビニのサラダしか買ったことなかったから…
「それだけこの野菜が美味いってことだ。俺たちよりもこいつらのがよく知ってる」
政宗は躊躇いなくイモムシを摘んで外に投げた。
「カッ、カッコいい〜」
虫の平気な男子は私の中でポイントが高い。
「信長様じゃなく俺に惚れたか?」
「いえ、それはありません。信長様にもありませんし。そして顔近いです」
手で政宗の顔近攻撃を阻止して私はキャベツと再び向き合った。
「お、まだやるのか?」
以外そうな顔の政宗。
「うん。こう言うことにも慣れないと。手伝うって言ったからにはちゃんとやるよ」
三ヶ月は短い様で長い。季節ひとつ分だもの。
「へぇ、案外芯は強いんだな」
その後の大根の葉にも、サヤエンドウの中にも虫さんはお邪魔していたけど、もういるものだと思えば心の準備もできると言うもの。キャーキャー周りに迷惑をかけながらも、私はなんとか下拵えのお手伝いをさせてもらった。
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「ふぅ〜、この時代の野菜は農薬なんてないから当たり前かぁ」
しまいには、「茹でちゃえば虫だけ浮いて来ますので気にしないで下さい」とか言われちゃったし…
「あそこまで虫だらけだと農薬かかっててもいいから虫なしがいいって思っちゃったな……」
時代が違えば食べ物事情も違うんだな。お肉より魚メインみたいだし、今朝の食事も思ったけどファスティングで行って食べたお寺の精進料理みたいだった。
「いやいや、何事も経験経験。えっと、とりあえず終わったらまた秀吉さんの部屋に来いって言ってたよね…?」
再び秀吉さんの部屋を訪ずれると、信長さまからの命だと言って武将達の世話役を任された。